2011年10月 Archives

1,

おこのぎが,市民後見養成・支援事業を行おうとしているのは,

なぜかとの問いかけがありました。

 

2,

市民後見人がなぜ必要なのか?

後見需要に供給が追いつかなくなること,また,いままでの後見が財産を有している者だけを予定していたのに対し,財産のない認知症高齢者にも後見が必要とされるからです。

 

つまり,親族がいない高齢者の場合,施設入所契約が締結する必要がある,また死後の事務を処理する必要があるなど,認知症高齢者に代わって,契約手続をする人が求められています。

 

3,

さらに,認知症高齢者に寄り添える後見人(特に補助者,保佐人)が,今後求められており,認知症ケアに携わっている方々が,市民後見人として活躍されることで,「後見を必要とする人に後見を!」との標語にもっとも合致することになるでしょう。

 

4,

ところで,1030日の「事前指示書」に関する講演会でも,認知症の方,それを取り巻く家族,看護士,医師の方々の視線から見た事前指示の問題は語られても,看取り介護一つとっても,経済的問題を抜きにしては,お金と余裕のある方々だけの話になってしまいます。経済的基盤があってなんぼの社会であり,適正手続が必要となります。

 

大多数の市民,社会の共感を得るには,お金も余裕もなく,家族もいない方に対しても,事前指示の問題を提起しなければならないのです。そして,そのためには,公的支援も必要となってくるはずです。

 

また,終末期,看取り介護に移行するためにも,高齢者本人の自己決定を公正証書作成という手続を経ることで,慣行となり,それが法的拘束力を持つ意思表示と認められてくるのです。

 

5,

つまり,市民後見養成・支援も,養成・支援を受ける市民,また,市民後見という情報を多数の市民が受けることで,後見に対する問題意識を共有していく過程と捉えることができます。いままで,専門職(弁護士,司法書士,社会福祉士)が,一人の後見を行ってきても,社会に広がりがありませんでした。しかし,多数の市民後見人を養成支援することで,後見を「社会化」することができるのです。

 

「後見を必要とする人に後見を!」創り出すことが,高齢者の生活の質を上げることにつながり,ひいては,滞留した地域経済の活性化につながっていくものと考えます。

 

なぜなら,後見人が,地域に根ざした高齢者の生活を支えるために介護契約等を締結し,地域の介護(食や介護用品の購入,住居のリフォーム等)を有効に活用していくことになるからです。

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

 

 

 

 

市民後見人養成・支援

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龍馬ネットワークが活動を開始します。

市民後見人養成・支援のための活動です。

上記具体的内容については,下記HPを参照して下さい。

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/shiminkouken.html

 

1.平成24年度より,市町村は、後見、保佐及び補助の業務を

適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るために

必要な措置を講ずることになります。

 

(1) 市民後見人希望者への研修の実施

(2) 市民後見人登録者の家庭裁判所への推薦

(3) 研修を修了した者を登録する名簿の作成や、市町村長が推薦した後見人等を支援。

 

2.当職らは,市町村から委託を受け,上記業務を行う受け皿を立ち上げます。

 

3.そのために,一般社団法人等の設立などを検討しましたが,その中で,現在活動中のNPO法人認知症ケア研究研修連絡協議会(福島富和理事長)に,「認知症ケア・後見センター」と名称変更・定款変更をお願いし,上記受け皿としたいと考えています。

 

4.平成244月乃至7月頃には活動開始するという構想を練っています。

 

龍馬ネットワークの具体的活動への第一歩です。

よろしくお願いします。

 

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/


最高裁は,成年後見人が,被後見人(成年後見の決定を受けた人)の財産を横領する事件が多発している現状を踏まえ,早ければ年末にも被後見人の財産を信託銀行に預ける制度の導入をしようとしている。

 

判断能力が欠けている人のために選任する後見人は,財産に関する代理権が認められるため,後見人が財産を使い込んでしまうケースが多発している。使い込まれた財産を取り戻すことは難しく,こうした横領を防ぐ仕組みづくりが課題になっていた。確かに,親族後見人による不祥事の発生が看過できない状況である。

 

しかし,最高裁が導入しようとしている「後見制度支援信託」は,高齢者の財産を囲い込みし,本人のために使わせないものであって,本来,本人の生活の質を高めるために,本人のお金を活用する成年後見制度とは,異質の制度である。上記不祥事を解決するためには,裁判所の後見実務に対する抜本的解決が必要である。例えば,親族後見人の選任時,初期研修を充実させると共に,選任後も親族後見人に対し,専門職による定期的研修を行うべきである。

 

なぜなら,家庭裁判所が後見人の役割等について,十分な指導を行わず,後見人となった親族が家族の財産と被後見人の財産を峻別する必要性を理解せず,財産を費消したというものであり,親族後見人らの理解不足が根本的原因と考えられるからである。

 

最高裁は,成年後見制度の中心をあくまで財産管理と捉えているため,高齢者本人の資産散逸にのみ,目配せしようとする。しかし,それは,推定相続人のための,成年後見と堕してしまい,高齢者のための残存能力を活用させるための本来あるべき成年後見の姿から,遠く離れたものであろう。上述したとおり,高齢者の財産は高齢者の生活の質を高めるために用いられるべきであり,その後見人の役割を指導し,且つ,研修させることが,あるべき後見制度に期待されている。

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/


情報としては少し遅れてしまいましたが,ようやく消費者庁が動き始めました。

消費者庁、安愚楽牧場を本格調査 景品表示法違反の疑い - 47NEWS(よんななニュース)
 2011/10/04 23:27 【共同通信】

 

弁護団の働きかけや資料の提供が消費者庁を動かす動機となっており,弁護団の成果の一つといえると思います。

もちろん成果というには小さいことかもしれませんが,少しづつ真相解明に向かっていく動きが見えてきたといえるのではないでしょうか。

 

近いうちに,債権届に関する書類が各オーナー債権者のもとに届けられると予想されます。

弁護団にご依頼を希望される方は,お早めにご連絡いただけますようよろしくお願いします。

 

1,成年後見が機能していない原因 

 介護保険と車の両輪と言われている成年後見は,なぜうまく機能しないのか。
結論から言えば,縦割り行政と司法だからである。成年後見は,司法である家庭裁判所が後見人の選任権・監督権・後見報酬決定権などを担当し,その法整備は法務省の担当であり,後見人を必要とする高齢者の生活は,厚労省の担当となっている。

2,市民後見

  厚労省は,平成23年度において市民後見養成・支援のモデル事業を全国37市町村においておこなっている。平成24年度からは,全国市区町村において施行し,平成26年度末には,全市区町村で完全実施とする計画である。
 これに対し,全国の大多数の家庭裁判所は,市民後見人を選任していない。

3,後見報酬

 例えば,後見人を必要とする年金のみの生活者には,確かに身上監護のために,補助あるいは,保佐人を必要とするが,家庭裁判所は,被補助者・被保佐人の資力が乏しい場合であるから補助・保佐報酬を認めない。これに対し,厚労省(市町村)は,成年後見制度利用支援事業の活用によって,報酬助成決定をしても,支払うことはできない。この場面では,家庭裁判所と市町村の両すくみとなってしまう。
 さらに言えば,後見報酬算定は,裁判官(審判官)ごとと言っても過言ではない。今後,成年後見利用制度事業を活用し,安定的に報酬助成を行うには,家庭裁判所による報酬算定基準の情報開示とあわせて,全国レベルでの後見報酬算定基準の統一が必要となる。

4,市民後見を推進するために

 以上から,激増する高齢者問題を解決するためには,厚労省の市民後見推進事業を現実化すべきことが求められる。ただ,裁判所は,行政が扱う一括りの高齢者という枠組みから,その救済を得られなかった1人1人の生活を判断し,救済しなければならない人権保障の最後の砦である。
 「後見を必要とする人に後見を!」を標榜しながらも,高齢者問題の最後の解決場所として,裁判所に委ねられなければならない人権問題として,高齢者問題もまた位置づけられるのである。したがって,市民後見に関する問題解決のためには,今,行政と司法が十分協議し,縦割りでない現実に即した予算と手続を構築すべき時である。

 

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