2014年4月 Archives

 4月13日,遠藤英嗣公証人を事務所にお招きし,家族信託研究会を行いました。遠藤英嗣公証人は,『新しい家族信託』(日本加除出版)の著者であり,日本で最も家族信託に関与している法律実務家の一人です。遠藤公証人は,現在の法定後見制度の問題点を強く認識されるとともに,家族信託は法定後見制度を補完する仕組みとして有用であるとの実感を得ていらっしゃいました。

例えば,法定後見制度における後見人は,被後見人の財産管理とともに身上監護を行うことが制度上予定されています。しかし,身上監護の適格者と財産管理の適格者は必ずしも同一ではありません。それは,a後見人として親族後見人がなった場合には,財産管理の不十分さが指摘され,他方,b専門職が後見人となった場合には,しばしば「被後見人にほとんど会いに行くこともない」といった批判がなされることからも明かです。そこで,法定後見人は身上監護を行う一方で,重要な財産の管理は信託によって管理することで,法定後見制度を補完することができます。

また,現在の法定後見制度の問題点として,財産管理を徹底する運用のために,かえって被後見人の意思を酌んだ財産の利用が行えなくなっているという状況があります。例えば,扶養家族に財産を定期的に渡す,会いに来てくれた孫にお小遣いを上げる,こういったことでさえ,一度,法定後見人が付されることにより,それができなくなってしまう恐れがあるのです。そこで,自分のための財産の管理は法定後見制度に任せる一方で,扶養家族や孫などへの財産の承継は信託によって行うことで,前述した不都合を回避することが可能になります。

「家族のために財産を託す‥」家族信託の可能性は今後どのような広がりをみせるでしょうか。

弁護士 金 井   健 

弁護士法人龍馬HP  

 研究会の様子(写真)


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学校事故と安全管理について

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弁護士星野です。

高崎市内の某小学校で,教職員向けに『学校事故と安全管理(判例・事例から学ぶ学校が気を付けるべきこと)』というテーマで講演をさせていただきました。

講演の内容は,学校活動上のトラブルから生じる責任を事前に把握し,具体的な判例・事例を紹介しながら,今後の学校活動上の指針としていただくものでした。

学校活動で起きる事故には様々なものがあります。授業に伴う事故,学校行事(体育祭,遠足など)に伴う事故,部活動に伴う事故,休み時間や放課後に起きる事故などです。

ただ,学校活動の内容や対象者の年齢(小学生か高校生か),事故が起きた場所・時間帯(授業中か休み時間か)などによって,学校側に求められる安全配慮義務の内容や程度には差異があります。

学校活動は少なからずリスクを伴います。ただ,リスクをゼロにすることはできないものの,その危険を,学校側が管理・対応できる範囲内に限定することが重要です。

他方,学校は児童・生徒の自主性や個性を重んじる場でもあります。リスクを回避するために管理を強化することは,教育の目的である子どもの成長・発達を妨げるおそれもあります。

子どもの自由な活動と学校側の安全管理は対立する概念であり,学校としてもこのような利益調整に日々努力され,思い悩んでいることと思います。

そこで,この利益調整のために,過去の判例や事例を踏まえて,学校活動に伴う危険を把握し,事前に対応を検討することは有益であると考えます。

弁護士の話を聞いてみたいとお考えの教職員の皆様,お気軽にご連絡ください(電話:027-325-0022,FAX:027-325-2210)。講演,セミナー,事例検討会等々お伺いさせていただきます。

具体的事例をもとに,学校側が気を付けるべきことを分かりやすくご説明させていただきます。


弁護士法人龍馬HP:http://www.houjinryouma.jp/

適格消費者団体を群馬に④

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弁護士の舟木諒です。

団体設立に向けて,シンポジウムを行います。
適格消費者団体の設立は仙台,熊本,神奈川など各地でその気運が高まっています。 
群馬でも頑張ります!

消費者シンポジウム詳細

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

 先日,職場におけるセクハラ・パワハラの防止と題し,講習を行いました。
 セクハラについては,特に「相手の意に反する」かという点を,安易に思い込まないことが重要です。つい自己の価値判断で,「これぐらい特に気にしないだろう」と考えてしまうのが人間だからです。ちなみに,本年7月1日から指針が改正され,「同性」に対するものもセクハラに該当することが明確になりました。
 パワハラについては,「業務の適正な範囲内」かどうかという点が難しいところでしょう。ともすれば,パワハラをおそれ,上司が部下に対し何の指導もできなくなる等といった声を聞くことがあります。しかし,これが誤りであるのは明らかです。そもそもパワハラを無くす目的は,終局的には,職場環境の維持です。指揮命令ができない環境が良い職場環境とは到底言えないからです。
 ハラスメントのある職場は,被害者職員だけでなく,全体の職務の効率を低下させ,収益に影響を及ぼすことがあると指摘されています。
 新年度を迎えるにあたり,1度改めて「ハラスメントをなくす」ということを個々人が確認し,職場環境の維持・向上を図ってみてはいかがでしょうか。
 ところで,顧問弁護士の活用法として,従業員からのハラスメント被害の通知先窓口となることができます。また,ハラスメント委員会などを設置されている会社であれば,オブザーバーとなることもできます。
 是非ご検討ください。

 弁護士 舟木  諒
 
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/
 弁護士板橋です。
 福祉関係者と弁護士の連携体制について,具体的事例を紹介します。

1,私が福祉関係者と協力をしながらサポートをしている高齢者がおります。関係者としては,ケアマネージャー,高齢者施設関係者,地域包括支援センター,生活保護担当行政職員,弁護士になります。

2,この方(以下「A」さんとします)は,独り身で地域において生活をされていた方でした。
  まず,地域住民の方々から,地域包括支援センターへ相談があり,行政が関わりを持ち始めました。Aさんには医療・介護の必要性がありましたが,関係機関へ繋がっていない状態にありました。地域包括支援センター職員の方々の粘り強い,説得等により,何とか医療機関へ繋げることが出来ました。

  Aさんは,体調の関係上入院することになりました。その後,自宅へ帰り独りで生活することは困難であったことから,介護認定を受け,ケアマネージャーへ繋げ,介護施設へ入居し,介護サービスを受けられることになりました。
  当時,Aさんは収入が無かったため,施設に入居するには生活保護を受給する必要があり,生活保護担当行政職員が関わることとなりました。そこで問題となったのが,Aさんの借金や各種滞納の発覚でした。
  生活保護担当者の柔軟な対応もあり,生活保護の受給がスタートしましたが,やはり借金等の問題を解決しなければなりません。

3,そこで,担当ケアマネージャーから私へ連絡が入り,借金問題の相談に乗ることとなりました。担当ケアマネージャーと私は,半年ほど前に,とある介護関係の集まりで知り合い,繋がりを持っていました。

  さて,弁護士としては,Aさんから直接依頼を受ける必要があります。その為,まず,私を含め,関わりを持つメンバー全員がAさんの入所している高齢者施設へ集まり,情報を共有し,今後の方針を検討しました。その後,私がAさんとお会いし,相談を受け,借金の整理の依頼を受けることになりました。
  Aさんとお話をしたところ,Aさんは,大変聡明な方で,家族亡き後独りで生活をしていましたが,収入等の関係から生活が苦しくなり,体調を壊されてしまったようです。様々な想いもお聞きした上で,Aさんが納得できる方法で借金問題を処理することとなりました。

  現在も,Aさんと私たちの関係は継続しており,借金問題も滞りなく処理手続が進められ,無事に解決する予定です。また,入所中の高齢者施設にも大変気に入っておられる様子でなによりです。

4,さて,Aさんの場合,弁護士費用はどうなるのか疑問をお持ちの方もいると思われます。今回のAさんは,生活保護受給者であることから,法テラス(経済的余裕のない方が利用できる弁護士費用立替等を行ってくれる法務省管轄の公的機関)を利用することで,弁護士費用の負担無く借金問題の解決が出来ます。細かい制度内容については法テラスのホームページをご参照下さい。

5,今回のAさんは,多少認知症の症状がある方でした。今後は,成年後見等の手続が必要となり得ます。Aさんは独り身であることからすると,首長による成年後見申立案件となる可能性が高いと考えられます。私も可能な限り協力をしてく予定でおります。
  Aさんに関わる関係者がチームを組んで協力し合うことにより,多数の問題を抱えたAさんは,心配事が減少し,今後は快適な生活が送れることになりました。

  いかがでしょうか。高齢者は,自分から積極的に相談に来ることが困難です。高齢者の抱える問題に対応するには,身近で関わるご家族,民生委員,福祉関係者等の方々が,適切な機関・専門家へ繋げることが必要になります。
  また,高齢者の抱える問題は,一機関・一専門職のみでは対応しきれません。その為に,高齢者に携わる関係者の方々が協力できる態勢を作ることが必要不可欠になります。
 
  弁護士法人龍馬は,積極的に福祉関係者と協力関係を築いております。
  現在高齢者の抱える問題に直面している方はもちろん,今後そのような問題に出くわす可能性がある方々も,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119,担当:弁護士板橋)へご連絡をください。
  ぜひとも,協力して高齢者の抱える問題の解決に取り組みましょう。

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

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