2007年3月 Archives

離婚時の年金分割

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1 目的
  平成19年4月1日から「離婚時の年金分割」制度が施行される。厚生年金保険法に基づく請求すべき按分割合に関して,以下説明する。
2 当事者
・平成19年4月1日以降に離婚等をした元夫婦又は男女(乙類審判、乙類調停)
驂婚姻中の夫婦(離婚調停、離婚訴訟、婚姻取消訴訟)
*夫婦の一方あるいは双方が死亡した場合、相続人が「年金分割」申立をすることはできない。係属中の年金分割事件は、当然終了となる。
3 申立
・管轄
 相手方の住所地を管轄する家裁(特別家事審判規則17条の6)
 *乙類調停の場合には、相手方の住所地を管轄する家裁又は当事者が合意で定めた家裁(家事審判規則129条1項)
提出書類
 ①申立書
 ②戸籍謄本
 ③社会保険事務所から交付された「年金分割のための情報通知書」(情報提供日から1年以内のもの、厚生年金保険法78条の3,同4)
 ④収入印紙1200円、予納郵便切手800円。
・申立の実質的期間制限
   原則として離婚等の翌日から起算して2年を経過すると標準報酬改定請求をすることができなくなる(厚生年金保険法78条の2)ことから、乙類審判・乙類調停の申立が許されなくなる。
髻離婚等の時期
   離婚等の日が平成19年4月1日以降であること。
4 審理手続
  ・乙類審判の進行
   原則として、書面審問(別紙照会書参照)を行った上で、審判する。
   按分割合を2分の1と定めることが原則とされるから、まず、書面審問により2分の1以外の割合を定める事情の存否を確認した上で、これがなければ、そのまま原則通り審判をすれば足りるから。
なお、審判の申立がされた場合でも、原則として付調停にするという通常の乙類審判の取り扱いをする必要はない。
 ・乙類調停の進行
   相手方呼び出しの際に、別紙照会書を同封し、期日に提出を求める。
基本的に、寄与の程度等に関する当事者の言い分に基づき柔軟に調整が行なわれる。明らかに按分割合を2分の1以外の割合で定めるべき例外的事情がありそうな場合以外は、原則2分の1で定められる。
調整が難しい場合は、1,2回で審判移行する。
  ・離婚調停の進行
   年金分割事件を付随申立した場合、その旨の書面に受付日が記載される。
・主文、調停条項
   原則、情報通知書を別紙として審判書、調停調書又は判決書に添付し、引用される。
「申立人と相手方との間の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を、0,5(あるいは、0.3など)と定める」(審判・調停)
「原告と被告との間の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を、0,5(あるいは、0.3など)と定める」(訴訟)
6 事件終了後の受領資料
審判書、調停調書又は判決書の謄本又は抄本
7 按分割合に関する考え方
 ・制度趣旨
ⅰいわゆる合意分割の制度
当事者間の合意又は裁判所の定めにより分割割合を定めた上で、それに基づき標準報酬改定請求をする。
ⅱいわゆる3号分割
平成20年4月1日以降において、夫婦の一方が被扶養配偶者(専業主婦)である期間について、標準報酬の改定及び決定の請求があれば当然2分の1の割合で分割される。
 ・結論
  合意分割についても,原則として2分の1で分割するのが相当。  以上

現地調査

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1,取引の目的となる宅地又は建物の調査
 弁護士として、管財物件を宅建業者に対して、評価・処分を依頼することが多くあります。
 その際、宅建業者は、売り主から対象物件の説明を受けることは特にありません。現地調査のみに頼らざるを得ないのです。今までのポイント確認と納得の作業はもとより、大事な点は、対象物件に対する全体の印象を把握することです。例えば、破産者が建築会社であれば、その本社建物には、通常建物と違うプラスαを感じ取ることができます。そのプラスαを買い主に対し説明できるか否かが、当該宅建業者の感覚や経験の差であろうと思います。
 ともあれ、管財人から処分を依頼された時点で、直ちに現地調査による報告を上げられるフットワークの良し悪しが、次の依頼に結びつくことになります。
2.生活関連施設の調査
 LPガス取引は、大手業者が、地元既存業者に対して供給切替の攻勢をかけております。つまり、大手業者が顧客に対し、切替をしてくれれば、サービス(供給単価の引き下げや、切替時の手数料交付)をするのです。これに対して、既存業者は、顧客の建物建築時に無償でガス配管工事をして、供給契約をしているので、これに対する回収を求めてきます。
 しかし、テキスト中に記載してあるガス屋内配管については、建物自体に附合すなわち、建物所有者に屋内配管の所有権が認められることになります(民法242条判例)。他方、既存業者は、附合を前提に建築時に特約をかわすことで、「償金(補償金という意味)」を請求することができます(民法248条)。
 このように、LPガス供給切替に関する一事例をとっても、結論に相違が生じますので、買い主に対し、安易に説明をすることは、誤導を生じさせる懸念があります。
 取引に際しては、十二分の注意が必要であるとともに、さらなる法的専門家からの助言を必要とする場合も存します。