2008年4月 Archives

 相談者から当職のもとに,弁護士から内容証明郵便が送られてきたので,至急相談したい旨の連絡があった。そこで,送付された内容証明郵便を拝見すると,相談者に対する請求内容が記載されてはいるが,その文面は依頼者が弁護士に説明した内容をそのまま聞き取り書き写したものと思われるものだった。そこには,裸のままの苦情が記載されており,いったん法的な濾過をし,法的根拠を有する請求内容として構成し直したものではなかった。そして,このような内容証明郵便が一件にとどまらず,何度か見受けるようになってしまった。思いを巡らすと,巷では法曹人口問題の過剰や法科大学院教育の問題が取り沙汰されている。

 そして,新60期では,実務実習に入る前に1ヶ月間の導入実習が行われたが,新61期からは導入修習は行われてない。当職は,司法修習担当となっているが,法科大学院教育,新司法試験と司法修習との間にあるギャップを放置された状況で,導入修習を経ない実務修習にジレンマを感じざるを得ない。

 冒頭の問題の所在もまた,司法修習の内容に起因するものであろう。損害賠償や金銭の返還請求をするにあたっても,請求するための原因事実が記載されなければならない。ただやみくもに,諸事情を書き連ねられたとしても,それは単に苦情の羅列でしかない。それでは,法律家同士の共通の土俵で闘うことはできないではないか。

1.高齢者・障害者に対する出張相談
 そもそも,高齢者・障害者は,法律問題に見舞われていたとしても,弁護士のところまで出かけてくることは非常に困難である。それは,高齢者障害者関係者においても本人を法律相談に連れて行くことができない。それゆえ,高齢者障害者関係者から,電話相談を受け,弁護士において,高齢者障害者のもとに出張相談することで問題解決をはかろうと思う。

2.以下,高齢者・障害者支援センターでの検討課題として,次の方法による相談体制を築き上げよう。

(1)高齢者や障害者の方が財産や生活に関して心配なことがあって弁護士に相談したい場合 
    相談方法としては,
      相談場所に来ていただく「来館相談」
      直接弁護士の法律事務所に来ていただく「来所相談」
      登録弁護士が依頼された方の生活場所にまで赴く「出張相談」

(2)そのうえで,出張相談を依頼した場合
 ①出張相談については,依頼される方が高齢者や障害者であり,身体的な理由や介護の事情で来所できないというのが条件です。
 ②まずは,電話,FAX,メールで申し込んでください。
  氏名,住所連絡先電話番号,連絡可能な時間帯を御連絡下さい。
 ③後日担当の弁護士から電話をさせていただき,出張可能かどうかの打ち合わせをさせていただきます。