2010年8月 Archives

 弁護士法人龍馬ぐんま事務所は,熟年者のさまざまな問題に取り組んでいる。

 ある70歳後半の男性,独居生活である。この方には娘がおり,娘は若い頃から摂食障害をおこしている。医療鑑定からすると,すでに「人格障害」の域にあると考えられる。窃盗などの逸脱行為を繰り返しているからだ。

 妻は現在,認知症となっており施設で生活をしているが,そのことも考え合わせると,娘に家族性のアルツハイマーの可能性も考えられなくはないと言われている。

 彼は,本来なら,妻や娘に頼りたかったかもしれない。しかし,現在,すべてを背負い込んで,常に,不安を感じている。そして,自らの記憶障害を自覚しつつある。「整理整頓ができない」「自分でなんとかしたいと思う」しかし,「できない」「わからなくなってしまう」そんな状況だ。

 

 当事務所は,この案件にどのように関われるだろうか。

 まずは,彼に余分な心配はせずに「自分の時間」と「空間」を確保してあげたいと思う。外的環境を整え,希望する生活状況を獲得してほしいと考えている。

外的環境という側面では,具体的にホームロイヤー契約であり,財産管理であり,任意後見である。彼の記憶障害は,財産管理ができず,かつ,食事,清掃等の環境整理ができない状況をもたらしている。これに対する財産管理体制を構築し,介護保険認定申請やヘルパー派遣,手続き等の方策である。

 

 そしてさらに,今,もう一つ提供できるのは,摂食障害の娘へ根本的アプローチである。スタッフの一人である社会福祉士の福島氏の面接から心のケアを提供するつもりである。本来,父親自身が抱えている依存的な部分に違う光が与えられるであろう。

 

 その上で,繰り返し相談できる安心感,さらには,カウンセリングや心理面の分析のあとに,どのような個別の「安心の枠組み」をどのようにつくってあげられるのかを模索していこうと考えている。

  高齢ドライバー標識が「四つ葉のクローバー」に変更された。

弁護士法人龍馬の冊子「快適に老いる!」でも,事前指示書「私の四つのお願い」が,メインテーマである。高齢ドライバー標識の対象は,70歳以上とされるが,「私の四つのお願い」は,70歳になるまでに作成しておいてほしい。  

 なぜかといえば,終わりの生き方を考え書面化するには,相当のエネルギーを要する。つまり,老いる現実を生き始めるまえに,準備すべき事柄だからである。  

 私の四つのお願いとは,

 ①あなたの医療やケアに関して代理判断する人は?

 ②あなたが望む・望まない医療処置とは?

 ③あなたの残された人生を快適・充実したものとするために?

 ④あなたの愛する人々に伝えたいことは?  

 を,書面化しておくことである。決して,終末期医療を拒否することではない。自分が人間らしく生きることを決定することである。そして,自分の終わりにあたり,家族に負担をかけないことでもある。  因みに冊子「快適に老いる!」を手にとって頂いた方々からの感想を抜粋し,添付する。

アンケート感想部分抜粋.pdf

img-821130616.pdf  (最近の小此木弁護士) 

 

「快適に老いる ~かかりつけ弁護士を身近に~ 」冊子を希望される方は,どうぞ,当事務所宛,ご連絡下さい。

本冊子は,自分の生き方老い方について,ふと立ち止まって考えるきっかけになればと願っています。
事前指示書や遺言書の作成は,相当のエネルギーを必要とします。
ましてや,弁護士のところへ連絡するとなると,よほどの覚悟(?)も要します。

それでも,本冊子をきっかけに,かかりつけ弁護士になってほしい旨の依頼もありました。
本冊子は,子のいない夫婦,子を頼りとしない方,お一人の方などにとって,切実に考えられていた内容だったようです。

ただ,弁護士だけでは法的分野の専門家でしかなく,高齢者となられる方の生活全般をみることはできません。
医療,福祉,介護,さらには税務と法務が絡み合わなければ,一人の人間に対処することができないのです。

ポスターは,まだありませんが,多くの方のところに出かけていき,本冊子の内容を広めていこうと思っています。
7月30日は,200人規模の講演を行いました。
聴取者は高齢の方々であったので,講演途中,背伸びなどをしていただかなければなりませんでしたが,大多数の方々に,大変好評でした。
9月には民生委員の方から,講演依頼もあります。
情報が広まるなかで,いろいろな事案の依頼も出てくるでしょう。
そのときには,是非,各専門家の知恵と経験によるご協力をいただければと願っています。
もちろん,今ある法律上の問題については,当職ら弁護士が,協力致します。
よろしく!

おこのぎ。