2007年6月 Archives

マルチ商法とは<組織の加入者に商品を売り,加入者は下位の加入者に商品を売る。その過程で上位者には,下位者のリクリートに伴うリベートが入る>というシステムである。

マルチ商法被害者とすれば,契約勧誘行為につき,①不実告知,書面不交付などによって,詐欺罪が成立するかという問題を,主張立証していくことになる。詐欺立証は,困難を伴うが,詐欺罪の前段階的犯罪類型である特商法34条違反の主張により立証が容易になる。そして,被害回収に際しては,②マルチ商法に無限連鎖講の構成要件をどう考えるかということが重要であり,事業者側が作り出した外観に惑わされないことが必須である。

問題解決を困難にしているのは,マルチ商法業者側が,下位者のリクルートを2~3年間で終え,会社をつぶしてしまうことにある。その結果,上位者において,利益を食い逃げしてしまい,後にリクルートされた下位者のみが被害者として残されることになる。下位者は,直接自分をリクルートした中間者に責めを問いただす。しかし,中間者は下位者に対する加害者である一方,上位者に対する被害者となっており,被害回収の相手先としては利得が限定され,あるいは,損失のみ生じている状況にある。

それゆえ,マルチ商法被害者からの弁護とすれば,早期着手につきるのである。ただ,被害が全国に及んでいる場合,弁護団を組み,できる範囲の被害回収を果たすしかない。