2010年6月 Archives

 
 
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 せわしい日々を送っています。

看板の位置決め、駐車場のライン引き立会い、机やいすそして、電化製品の搬入、ソファの搬入、パソコンの設定などなど。

先日は、植樹でした。着々と新事務所が稼動しはじめました。

 肝心の業務内容は、冊子『“快適に老いる!”~かかりつけ弁護士を身近に~』に記載されています。

冊子もすでに200部予約を受けています。さらに、冊子を題材とした講演が行われます。

新聞取材も受けました。

 本業務は,高齢者となる方々に,きっと役立つものです。かかりつけ弁護士と事前指示書を普及させたいと願っております。

弁護士法人龍馬:http://www.houjinryouma.jp/100710_0950~01.jpg

 

 

 

 石飛幸三著『口から食べられなくなったらどうしますか「平穏死」のすすめ』を読みました。本書より改めて,自分がやりたいことを再認識しました。石飛氏は,四十年にわたる医師としての経験から「自然死を知らない医者」と吐露しています。さらに,「老衰の終末期を迎えた体は,水分や栄養をもはや必要としません。無理に与えることは負担をかけるだけです。苦しめるだけです。」と説明しています。医療への過信は,人間が人間としての大事なものを見失ってきたとも記載しています。そして,「老衰のため体に限界がきて,徐々に食が細くなって,ついに眠って静かに最期を迎えようとしているのを,どうして揺り起こして,無理矢理食べなさいと口を開けさせることができましょうか。……もう寿命が来たのです。静かに眠らせてあげましょう。……これが平穏死です。」と。


 医師の立場では,この説明で十二分に現代医療の問題提起がなされています。そもそも,「胃瘻は,意識があるのに嚥下機能が失われている人にとっては,極めて有効な栄養補給法です。……子供の食道狭窄に対する応急的処置として行われたのが始まりでした。……(しかし)もはや物事を考えること,喜怒哀楽を感じることさえもできなくなった人に対して,強制的に栄養を補給することは本当に必要なことなのでしょうか。」と。

 しかし,法律家の立場では,医師が老衰状況にある人に,胃瘻をつけざるを得ない医療措置に対し,手続き上,当該状況を解消しなければなりません。その解決方法は,老衰に至るであろう目の前の経口摂取が困難な患者が,認知症となり意思表明できない状況であったとしても,当人が事前に真意により,延命のためだけの医療行為を望まない事前指示手続を普及させることです。

 私は,『快適に老いる!~かかりつけ弁護士を身近に』の冊子を,是非皆様に読んでいただき,事前指示書を作成しておいてもらいたいと願っております。石飛医師の本書は,私の仕事に対する最大の根拠を,具体的・詳細に説明しています。私にとって,走りながら箇条書きしてきたことに対し,改めて,起承転結の文脈を示してくれたからです。

広告の話

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 新規事業の立ち上げ,ネットワーク作り,新事務所の建築,などなど。


事前指示と任意後見と遺言の三点セットによる新規事業の立ち上げは,一方で先駆的な事業と囃されるが,巷で高齢者問題が取り上げられるほどには,需要が見込めない。なぜなら,高齢者問題は,福祉的色彩が強く,費用を払ってまで,上記事前指示や任意後見を利用することが今までになかったからである。一般に弁護士は敷居が高いと言うが,それはとりもなおさず,費用が高いと考えられたからである。


 そこで,冊子代500円を支払えば,無料法律相談が受けられるとの広告をする予定である。冊子の中身を読み込んでもらい,新事務所の方針を理解してもらう。そして,当事務所を利用してもらえば,広告の意味がある。
 広告も,当事務所にとってははじめての試みである。
 

 新事務所建築というハード面にとどまらず,いかにして顧客の期待に応えられるかに関するソフト面を充実させたい。そしてそのソフト面は,顧客案件を多数取り扱うという経験値を積むことにより,培われるものである。
 それゆえ,この広告により,どっと相談が押し寄せることを期待したい。

 

 高齢者問題は,多様な問題を有している。老いの問題は個人で取り組んでも,孤独に陥るばかり。利用したいサービスがうまく探し出せず,遠回りばかりしてしまう。核心に迫って方策をみつけたときには,肝心の自分は,“今際の際”かもしれない。
 そんな心配の渦中にいる人を,一人でも少なくしたいのだ。

 弁護士法人ぐんま法律事務所は,ネットワーク構築にあたり,医師・社会福祉士・司法書士・会計士・税理士の専門家の方々へ参加協力と小冊子へのコメントを求めた。22名の方々から参加協力の回答を得た。その一部を紹介したい。

 参加協力をいただいた飯野佑一先生は,救急医療の推進を目指し,NPO法人群馬県救急医療推進協会を立ち上げられ,群馬県内における救急医療医学教育や支援活動を行える専門家が多数存在することを前提に,救急医療のネットワークチームを構築され,群馬大学医学部教授を本年退官された。私もこのようなネットワーク構築に鼓舞された一人である。

 内田病院・高齢者施設の理事長である内田好司先生からは,小冊子の目玉である事前指示書に関し,現場からの詳細な意見やアルツハイマーに関しての正しい知識をアドバイスいただいた。

 私のゴルフ最強ライバル石北敏一先生は,診察時,患者さんには,「アンチエイジングではなく,『順調に歳を重ねていますよ』」と話すという。そうすると笑って「なるほど」と言って帰られる方が多いですというコメントをいただいている。
 「齢を重ねる」ということは,年齢を重ねることを拒否する事ではない,それらが時間とともに順調に,健康にながれていることだという考えに触れて,人間としての安堵を得るのだろう。
 
  内山恵子社会福祉士には,「行政が中心になって対応する事が困難になりつつある現在,私たち専門職がつながり支えていくネットワークが大きな力になり得るでしょう」という専門家ネットワークを期待する発言をいただいた。

 須田和也社会福祉士は,「終末期医療の現場に関わることも多く,いわゆる末期ガン患者の方が,“病院ではなく自宅での最後を迎えたい”という思いを尊重したい」という。

  私は,皆さまの「かかりつけ弁護士」を標榜しているが,猪之良社会福祉士は「かかりつけ社会福祉士」を目指している。彼は,常時30件以上の成年後見の案件を担当しており,その活躍ぶりには目を見張る思いである。

 青木社会福祉士からは,「ケアマネージャーを兼ねる私は普段の業務から対人援助職と法律職が融合することにより,高齢者が安心した老後を過ごせると感じております。私もネットワークの一員に入れていただき,研鑽を積みたい」とのコメントをうけた。

 清水敏晶司法書士には,「高齢化社会を見据えたすばらしい取り組みだと思います。心より応援します」という心強い言葉をいただいている。

 さらに,小冊子における税務上の問題の記載に関しては,南雲税理士から細部にわたる加筆をうけた。

 最後に,高齢者問題への新たな問題提起書”快適に老いる”冊子(7月1日発刊予定)を手に取っていただいた専門家の方々には,ぜひ本ネットワークへの参加を期待したい。メーリングリストで情報交換の場を持ち,問題解決に至る道筋を互いに提案できればと願う。