2014年7月 Archives
弁護士の金井健です。
私は,群馬弁護士会の労働社会保障委員会の一員として,平成26年7月2日~10日までイギリス(ロンドン)に視察に行きました。視察内容はイギリス国内の労働法制の現状や課題を学ぶことにありましたが,かかる調査報告は各委員がそれぞれ適切な場で詳細な発表をすると思いますので,この場では私の視点で感じたこと,考えたことを書き連ねたいと思います。
私がこの短いロンドン視察の中で感じたことは“伝統とグローバリゼーションの交錯”でした。イギリスには歴史ある建物,文化,法制度がありますが,現在は多くの移民がいて多様な文化的影響を受けています。また,EU(ヨーロッパ連合)の影響も見過ごせません。このような“伝統とグローバリゼーションの交錯”を視察の様々な場面で感じました。そして,イギリスの司法制度も伝統とグローバルの間で揺れ動いているように見えます。
今回の視察は,バリスター(barrister)のHelenTungさんに大変お世話になりました。彼女のおかげで,ロンドンで活躍する弁護士の事務所に訪問させていただいたり,英日法曹協会主催のレセプションパーティに参加させていただくことができました。
ところで,そもそも,バリスター(barrister)って何?と思われるかもしれません。実は,日本でいうところの弁護士は,イギリスでは,法廷弁護士であるバリスター(barrister)と事務弁護士であるソリシター(solicitor)に分かれます。そして,バリスターは依頼者から直接事件の依頼を受けるのではなく,ソリシターから依頼を受けて法廷での活動を行うのが伝統なのです。
我々日本の弁護士の感覚では,「法廷での活動ができずにどうやって法律事項をアドバイスするの???」とか,疑問ばかりを感じてしまうのですが,伝統的にこの2者はまったく別の仕事として捉えられていたのです。そして,“法廷で振る舞う”というのはイギリスでは伝統的に威厳のあることであり,特別な仕事だったのだと思われます。
下の写真は,ロンドン市内にある王立裁判所(王立裁判所というのは建物の名称で,内部に高等法院など組織が設置されています)です。なんと,美しく威厳の感じる裁判所でしょうか!日本ではこのような裁判所はお目にかかれません。もちろん,現在も使われていて,法廷内部もとても美しいです。こんな威厳のある法廷で,裁判官や前述バリスターは“かつら”を被って活動をしているのです。イギリスの司法制度の歴史の深さを感じずにはいられませんでした。
そんなイギリスの由緒ある法廷やバリスターの活動も,グローバル化あるいは自由競争の波にさらされています。普通に考えて,法廷弁護士と事務弁護士が分かれていては,依頼者からすれば二重に人件費がかかってしまうのです。
そして,ソリシターは,一部法廷活動が許されるようになりました(しかし,ソリシターは法廷で“かつら”を被ることは許されておりません)。バリスターも直接依頼者から事件を受任できるようになりました。これにより,依頼者にとっては選択の幅が広がったといえるでしょう。しかし,他方で,由緒あるイギリスの司法制度は大きく変わることになるのです。このように,伝統あるイギリスの司法制度も揺れ動いているように見えました。
王立裁判所の裁判官やバリスターがかつらを脱ぐ日は来るのでしょうか?それでもこの美しい裁判所は残っていて欲しいですね。
続く
弁護士 金 井 健
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/
弁護士板橋です。
私は,弁護士登録後に必要性を感じたことから,FP資格を取得しました。世の中まだまだFPの認知度は低いと思われますが,世の中の全ての方に必要である,お金に関する知識が習得できます。
私は,弁護士として,特に借金問題や離婚問題に対応する際,FPとしての知識・経験を活用させていただいております。具体的には,現状の家計の見直し,保険等の見直し,将来のライフプランを見据えた貯蓄アドバイス等々です。弁護士としてFPとして,皆様の人生の新たな出発を応援させていただいております。
FP資格取得後数年経ってしまいましたが,昨年より,日本FP協会群馬支部のスタディグループ(SG)に参加しております。SGとは,毎月定期的に勉強会を開催し,FPとしての研鑽に努めている団体です。
先月は,SGメンバー内田政敏税理士による相続税改正についての勉強会でした。相続税計算の仕組み,平成27年から適用される改正点,具体的な相続税申告に纏わる業務について学ばせていただきました。
当然かもしれませんが,相続業務における税理士の視点と弁護士の視点の相違に新たな発見がありました。クライアントの為には,税務も法務もトータルなサポートが必要であることを再確認させられました。
私の所属するSGには,独立型FP,税理士,社会保険労務士,生保・損保社員,保険代理店,介護事業所社員,宅建業者等々,実務の最前線で活躍されている多様な業種の方々がおります。ライフプランニングのみならず,人生をトータルサポートすることが出来るメンバーが揃っております。
勉強会では,各種業界における内部事情や実務動向を学ぶことができ,弁護士業務に非常に役立ちます。SGメンバーは,弁護士にとって強力なパートナーです。
さて,平成26年7月5日(土)午後1時30分より,群馬県内の4つのSG合同の勉強会が開催されます。この勉強会では,板橋が講師をさせていただきます。テーマは 『「相続」について考える~「争族」の現状とFPの役割~』です。誰にでも起こりうる相続紛争について,弁護士の視点からFP業務に役立つ情報を提供させていただきます。
非会員の方も参加可能です。ご興味のある方は日本FP協会群馬支部のホームページをご参照下さい。(https://www.jafp.or.jp/tbb/?hojin_cd=910)
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