ユーザー (#2)2014年4月 Archives

 4月13日,遠藤英嗣公証人を事務所にお招きし,家族信託研究会を行いました。遠藤英嗣公証人は,『新しい家族信託』(日本加除出版)の著者であり,日本で最も家族信託に関与している法律実務家の一人です。遠藤公証人は,現在の法定後見制度の問題点を強く認識されるとともに,家族信託は法定後見制度を補完する仕組みとして有用であるとの実感を得ていらっしゃいました。

例えば,法定後見制度における後見人は,被後見人の財産管理とともに身上監護を行うことが制度上予定されています。しかし,身上監護の適格者と財産管理の適格者は必ずしも同一ではありません。それは,a後見人として親族後見人がなった場合には,財産管理の不十分さが指摘され,他方,b専門職が後見人となった場合には,しばしば「被後見人にほとんど会いに行くこともない」といった批判がなされることからも明かです。そこで,法定後見人は身上監護を行う一方で,重要な財産の管理は信託によって管理することで,法定後見制度を補完することができます。

また,現在の法定後見制度の問題点として,財産管理を徹底する運用のために,かえって被後見人の意思を酌んだ財産の利用が行えなくなっているという状況があります。例えば,扶養家族に財産を定期的に渡す,会いに来てくれた孫にお小遣いを上げる,こういったことでさえ,一度,法定後見人が付されることにより,それができなくなってしまう恐れがあるのです。そこで,自分のための財産の管理は法定後見制度に任せる一方で,扶養家族や孫などへの財産の承継は信託によって行うことで,前述した不都合を回避することが可能になります。

「家族のために財産を託す‥」家族信託の可能性は今後どのような広がりをみせるでしょうか。

弁護士 金 井   健 

弁護士法人龍馬HP  

 研究会の様子(写真)


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 先日,職場におけるセクハラ・パワハラの防止と題し,講習を行いました。
 セクハラについては,特に「相手の意に反する」かという点を,安易に思い込まないことが重要です。つい自己の価値判断で,「これぐらい特に気にしないだろう」と考えてしまうのが人間だからです。ちなみに,本年7月1日から指針が改正され,「同性」に対するものもセクハラに該当することが明確になりました。
 パワハラについては,「業務の適正な範囲内」かどうかという点が難しいところでしょう。ともすれば,パワハラをおそれ,上司が部下に対し何の指導もできなくなる等といった声を聞くことがあります。しかし,これが誤りであるのは明らかです。そもそもパワハラを無くす目的は,終局的には,職場環境の維持です。指揮命令ができない環境が良い職場環境とは到底言えないからです。
 ハラスメントのある職場は,被害者職員だけでなく,全体の職務の効率を低下させ,収益に影響を及ぼすことがあると指摘されています。
 新年度を迎えるにあたり,1度改めて「ハラスメントをなくす」ということを個々人が確認し,職場環境の維持・向上を図ってみてはいかがでしょうか。
 ところで,顧問弁護士の活用法として,従業員からのハラスメント被害の通知先窓口となることができます。また,ハラスメント委員会などを設置されている会社であれば,オブザーバーとなることもできます。
 是非ご検討ください。

 弁護士 舟木  諒
 
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/