ユーザー (#2)2007年1月 Archives

弁護士は,不動産知識が必須の実務家であるが,弁護士とはいえ,本当に使える不動産の実務知識を有しているとはいえない。
確かに,本当に使える不動産の実務知識を有している人は,不動産業務従事者に限られると言って過言ではなさそうである。

目下,自分が宅建講習の講師準備をしている途上,上記感想を抱かざるを得ない。悲しいかな,自分の今までの不動産知識は,書面上の知識に過ぎなかったかもしれない。

今般,宅建講習講師をすることで本当に使える不動産の実務知識を取得できたと思えるのである。町の中の「建築計画のお知らせ」看板をみるにつけ,知識を反芻する自分を思わず微笑ましく感じる。

高崎市は,マンションやホテル建設のラッシュである。アパホテルの耐震偽装問題や東横インの建築基準法違反問題のマスコミ報道も,高崎市内で次々と建設されてきたので,身近な問題として現場を確認している今日この頃である。

1.
長期間,サラ金を利用してきたみなさん,是非自分が払いすぎていないかどうか,確認し,過払金があった場合には,返還請求すべきです。

もちろん,今まであたかも自分の財布の中身のごとく,サラ金が設置した現金支払機を便利に利用されたことでしょう。この便利さの半面,本来支払い不要の金利を多額にサラ金に支払って来たのです。それゆえ,サラ金は,駅前一等地に出店し,テレビではゴールデンタイムに「ご利用は計画的に」とコマーシャルができるのです。

ですから,払い過ぎがあったら堂々と返還を求めるべきです。ただ,便利なお財布は,失ってしまいますが・・・。

2.
そもそも,過払金とは,サラ金等から,長期間お金を借り返済してきた人が,サラ金業者に返し過ぎたお金のことをいいます。返しすぎたのですから,返してもらうことができるのです。

サラ金業者は,債務者が本来無効の金利部分を任意に支払えば受け取ることができるというグレーゾーンに生息する貸金業者です。民事上有効な金利は,15%(100万円以上借りた場合)で ,債務者がそれ以上の金利分を任意に払った場合には,貸金業規制法43条により有効な弁済とみなされてしまいます。しかし,返済金利年29.2%の場合,年15%(利息制限法第1条)を超える差額分14.2%が無効となります。
このように,過払金とは,債務者が消費者金融業者から利息制限法の利率を越える利息で借入れをしている場合に、利息制限法に引直し計算をした結果算出される、本来であれば支払う義務のないお金のことをいいます。
   ※利息制限法では,貸金の返済上限利率を以下のように定めています。
       10万円未満  年20%
       10万円以上100万円未満 年18%
       100万円以上       年15%

3.
過払金返還請求にあたって肝心なことは,長期間利用してきた借入と弁済の取引明細書を手元に取り寄せ,利息制限法に基づく引直し計算をすることです。その引き直し計算額をもって,サラ金と交渉し,過払金の返還を受け取ることができるのです。

ただし,近頃,サラ金の過払金返還も困難さを増しており,任意の交渉では,減額を求められます。過払いの相当額を確保するためには,過払金返還請求訴訟を提起しなければならない状況に至っております。

それゆえ,過払金の返還を受けるには,是非,消費者問題を専門とする弁護士に相談して下さい。

4.
ちなみに,過払金請求を含む任意整理に関する弁護士費用(当職の場合)は次のとおりです。弁護士費用とは,弁護士に依頼時必要となる着手金(1)と,過払金回収時あるいは,減額和解時における報酬金(2)を合計した金額です。
      (1)着手金
        (a)債権者1社から2社までの場合,
           最低5万円
        
        (b)債権者3社以上の場合,2万円×債権者数
      
      (2)報酬→ 過払金を回収後,1債権者について,2万円と下記過払金報酬金額を加算した金額が弁護士報酬となります。
      
※過払金報酬金
過払金の返還を受けたときは,債権者の元金請求を免れた減額報酬金の外に,返還を受けた過払金の24%相当額の過払報酬金。

執行猶予の説明

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Aは,Bさんに暴行し傷害を負わせたので,傷害等被告事件における判決「懲役1年6月,執行猶予3年,保護観察付」を受けました。この執行猶予付判決の説明は次のとおりです。

1.
そもそも,本件における執行猶予とは,
刑の言い渡しをした場合において,情状によって一定の期間内その執行を猶予し,その期間を無事経過したときは刑の言い渡しはその効力を失うとする制度をいいいます。

本件におけるAに対する「懲役1年6月,執行猶予3年」という判決は,有罪ですが,3年間,懲役という刑務所に収監されることが猶予されたという意味です。

Aには,有利な情状,すなわちAが犯行を行った際にやむを得ない事情が判決にあたり考慮されたのです。
そして,猶予された3年の期間を無事経過したときは,「懲役1年6月」という刑の言い渡しはその効力を失い,Aはこの刑の執行を受けることがなくなります。しかし,Aがこの3年の期間内に,さらに新たな罪を犯し,禁固以上の罪に処せられたときには,本件で言い渡された「懲役1年6月という刑の執行を3年間猶予する」というAへの恩恵が失われてしまうのです。
それゆえAは,今後の社会生活に対し,社会人としての自覚を持ち,改善更生が求められるのです。

2.
次に,「保護観察付の執行猶予」とは,
執行猶予に付随して,Aを指導監督し援助することによって,一般社会の中でAの改善更生をはかる制度です。保護観察は,保護司が担当し,Aの改善更生を助けることになります。
「保護観察付執行猶予」の判決の場合,単なる執行猶予判決以上に,Aは,今後3年間社会生活を送る際,十二分の注意が必要とされます。なぜなら,この間に,さらに罪を犯した場合には,再度執行猶予が付される可能性はなく,前刑の「懲役1年6月」に対する執行猶予が取り消され,新たに犯した罪に対する判決,例えば「懲役2年」が加算され,Aは,3年6ヶ月の期間懲役に行かなければならないからです。

3.
Aの社会生活上の注意
Aは,もちろん,3年の執行猶予期間内に犯罪を犯さないという自覚を持ってくれるで しょう。その際,具体的に注意をしておきたい点があります。

 ①車の運転に注意して下さい。
交通事故は,事故を起こそうと思って起こすものではありま
せん。しかし,交通法規を守るという注意をすることはでき
るはずです。
  
②生活時間を守ってください。
  Aは,今までのように,自分に関わる人たちに甘えることは
できません。Aは,これからの社会生活において,仕事や日
常で約束した時間をしっかり守ってゆくことです。夜間遊び歩
いたりすることは,自らが犯罪に巻き込まれる機会をつくる
ことになります。Aは,少なくとも3年間,より厳しい環境の
中で生きていくことを覚悟してください。

離婚調停における一考察

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 離婚調停の当事者は,調停に対し,いろいろな意味で不満を漏らす。しかし,調停と いう仕組みは,日本が築き上げた世界から注目される紛争解決制度である。多くの国々では,離婚するには,公的判断を必要とし,当事者の協議による離婚は認められていない。
 調停は,公的判断を求める前に,当事者の協議による解決を図るものであり,自らの決断ができるという優れた仕組みである。それ故,調停に関与する人々の役割と限界を認識していただくことで今まで抱いた不満や過剰な期待を払拭して欲しい。

調停に関与する人々
 1,当事者……申立人は,調停で積極的に自分の意思を貫き,早期に解決を図りたいとの願望を持っている。他方,離婚 調停の相手方は,多くは,離婚したくないので調停に積極的ではない。時に,無断欠席する。このように,相反する立場の当事者を調停は前提とする。

 2,調停委員……男女2名で構成し,当事者からの主張ひいては,愚痴までもよく聞くという役割を果たすとともに,解決の一案を提示する。
  当事者から,離婚申し立てに至る経緯,現状の生活,精神状況等具体的内容を確認する。話を聞くことで,当事者のストレス解消をも役割とする。時に,自己の価値判断を押しつけることで,当事者から不興を買う調停委員も存在する。当事者の申し立て内容をよく聞いてくれる調停委員になるよう,委員各自努力している。

 3,裁判官……事実を確認し,第三者として法的判断を提示する。
 (1)相手方の欠席に対し,出頭勧告の判断を下す。まずは,書記官に欠席当事者に対する連絡をとってもらう。次に,家裁調査官に出頭勧告手続きを要請する。
 (2)相手方が,離婚を絶対拒否し話し合いに応ずる可能性がないと判断を下した場合には,調停を不調とする。調停を経ることが,裁判手続きへの前提となる(調停前置主義)。
 (3)的確な結論を予測して手続きを迅速に進める。もちろん,調停進行する中で,当事者から具体的事実が判明していくので,進行過程で結論を微妙に調整していくのである。

 4,書記官……事務を進行する役割を果たす。
   往々にして,申立人は,相手方が欠席することをなぜ自分に伝えてくれなかったのか,連絡があれば無駄な時間を過ごすことはなかったのにと調停手続きに不満を漏らす。しかし,書記官は,調停内容に立ち入って折らず,相手方の欠席如何を申立人に連絡することは調停に混乱をもたらす。裁判官の判断に委ねざるを得ない。

 5,家裁調査官……当事者の心理的動向を調査し,調停の俎上にのせる。
  子に対する面接交渉等,非常に微妙な判断を下すための調査という役割を果たす。しかも,出頭を嫌う相手方に対し,出頭勧告を行う。

   これらの調停に関わる人々の融合の中で,心の整理や生活改善,新たな人生への再出発を準備することができるのである。ただ,一人一人の多様な人生故に,全員の信頼を獲得することもまた困難である。

年頭にあたって

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 新しい年を迎えるたびに,新たな目標を立て,楽しみながら実現につとめている。一部有言不実行ながら,一つ一つ確実に積み重ねられてきた。

2007年,弁護士業務改革着手の年とし,2009年には改革を果たしたい。
 人 …… 弁護士及び秘書を増員。
 業務…… 企業のコンプライアンスを周知。
        消費者団体訴訟の着手。
        離婚年金分割に対する情報提供。
 広報…… HP及び事務所報で顧客が役立つ情報の提供。
 健康…… 身体を動かす時間の習慣化。
 自分…… 新たな楽しみの開拓。

 さて,いずれが実行され,いずれが不実行となるか,これもまた自分次第。