ユーザー (#2)2008年5月 Archives

1,経緯
上毛ローン上毛與信株式会社は,県内資本で最大の貸金業者である。
2008年4月23日,同社は,群馬銀行に対し,債権譲渡し,同月24日債権譲渡の登記(第2008-13682号)をし,一時業務停止をした。
同月28日,同社は,群馬県商政課に対し,廃業連絡をしていたが,同年5月13日業務再開を意思表明した。
同年5月19日,同社は,新規貸し付けなど業務を全面再開した。破産手続のため備えていた資金1000万円を新規貸し付け用に振り替え,融資資金を確保したとのことである。
同月20日には,8月末をめどに破産か事業譲渡を行う見通しを示している。

2,問題点
ところで,他の消費者金融は,一方で金利を利息制限法の範囲内で貸し出しをし,他方で,過払い金返還に誠実に対応している。
これに対し,上毛ローンは,利息制限法を超えた金利による取り立てを行いつつ,他方で,4月から現在に至るまで,過払い金の返還に応じていない。さらに,同社は,過払い金返還債権者が,群馬銀行の口座を,差し押さえしたとしても,債権譲渡の登記をした群馬銀行の優先を標榜し,過払い債権者からの執行手続を免れようとしている。

3,弁護団結成
このような上毛ローンの対応は,群馬県商政課が,「資金利用者に混乱を生じないよう法令を遵守し適切な対応を行う」よう通知したにもかかわらず,貸金業法及び過払い金返還を認めた最高裁判決を遵守せず,資金利用者に被害を与えたにすぎない。
すなわち,現在,訴訟等で過払い金が確定している債権者はもとより,取引履歴の開示を受けられず,過払いであるにも関わらず顕在化していない多くの債権者もまた,上毛ローンの債権譲渡により,過払い金の回収を受けられずに,取り残されてしまう。
しかし,グレーゾーンの金利は,上毛ローンから銀行への債権譲渡により,最終的には銀行が取得することになり,同銀行が事実上,利息制限法を超過した違法な金利を取得するということにほかならない。
そこで,我々は,現在,過払い債権者であるが,上毛ローンから任意の弁済を受けることができない者はもとより,顕在化していない過払い債権の回収を図ること,さらには,今も利息制限法を超えた金利での支払いをしている債務者の債務額を減額すること等,個々の消費者の救済を図るべく,上毛ローン被害対策弁護団を結成した。

4,要請
弁護団は,上毛ローンに対し,企業コンプライアンスを求め,次の要請をする。
①同社は,過払い金返還業務を誠実に遂行すべきである。
②同社は,自ら利息制限法利率により計算し,過払いが生じている顧客に対して,任意の弁済をすべきである。
③取引履歴開示請求に対し,債権譲渡の有無とともに速やかに開示を行うべきである。
④債権譲渡を行った貸金債権の顧客数,及び譲渡にかかる対価の基準を報告すべきである。
⑤上毛ローン自ら,過払い金返還業務等を怠っていることから,一旦返済を止めた顧客個人の返済能力に対する情報を,信義則上,信用情報機関に提供すべきではない。 以上

【 上毛ローン被害対策説明会開催 】
場所 新前橋・群馬県社会福祉総合センター8階ホール
日時 6月7日(土)   10時30分~11時00分まで
    群馬弁護士会,群馬県多重債務者対策協議会 共催。
    同日11時00分から12時00分
    弁護団説明会(委任関連の質疑応答)   

【弁護団員】
  鈴木克 小此木 星野 斉藤 小渕 久保田 天田 倉崎
  赤石 茂木 栗原 吉野 三角 新井 鈴木智 中田

【 方針 】
1 弁護団は,上毛ローンに対し,受任した全ての債務者について、取引履歴開示と利息制限法による計算を求める。
  ①債務が残る債務者も金利29.2%から,原則18%に減額した
11.2%部分を元金に組み込み再計算することで,大幅に債務額が減額させることができる。
  ②過払い債権者については集団訴訟,強制執行検討。

2 多重債務者については、個別に担当した弁護士が相談にのる。
 
【 集団訴訟のメリット 】
1 担保債権者(銀行等)への要求
2 事業譲り受け会社に対する要求
3 債権者取消権行使も視野

【 方法 】
1, 債務が残る人
  上毛ローン債務の調査と減額交渉。
  委任契約書には、利益相反の了解事項を入れる。
  委任状は5通。
  費用1万円(減額報酬別途)
  *通知には、信用情報への遅延登録をさせないよう付記する。
   「契約見直し」登録にさせる。信用情報機関にも要求する。
  ただし、依頼者には、登録の危険がある旨説明する。
2, 過払いとなる人
  費用1万円(過払い金回収報酬別途)
3, 任意整理、破産、個人再生向きの人は、報酬規定額から1万円を引いて個別弁護士が別  途受任。

【 広報 】
  群馬県及びおこのぎ法律事務所のホームページに載せる。

【 弁護団体制 】
  団長:鈴木克昌,副団長:小此木,事務局長:天田,会計:栗原
  地域連絡責任者:小此木(高崎),小渕(前橋),斉藤匠(太田),久保田(桐生)

上毛ローン上毛與信株式会社は,県内資本で最大の貸金業者である。同社は,一時業務停止をし,廃業の意思を固めていたが,2008年5月13日業務再開を意思表明した。

しかし,同社が現在行っている業務は返済状況の管理にすぎず,過払い金返還には応じていない。しかも,同年4月上毛ローンは,群馬銀行に対し,2008年4月23日,債権譲渡し,同月24日債権譲渡の登記をした。

ところで,他の消費者金融は,一方で金利を利息制限法の範囲内で貸し出しをし,他方で過払い金返還に誠実に対応している。これに対し,上毛ローンは,自ら「与信再開が得られるまでは,キャッシュがないので,(過払い金返還には応じず)返済状況の管理」をするだけだと表明している。さらに,上毛ローンは,群馬銀行の返済口座に対する消費者からの差し押さえに対し,群馬銀行の優先を標榜し,開き直っている。

このような上毛ローンの対応は,未だに,利息制限法を超えた金利による取り立てを行いつつ,過払い金返還に応じない姿勢を鮮明にしたものである。

よって,上毛ローン被害対策弁護団は,上毛ローンや同社からの債権譲り受け会社に対して,利息制限法範囲内での取引とともに,過払い金返還業務を誠実に遂行するよう求める。現在,上毛ローンに債務を負担している消費者であっても,利息制限法の引き直し計算により,減額もしくは,過払いの可能性が出てくるので,当面支払を保留し,弁護団あるいは弁護士への依頼を進める。これに対し,消費者は,信用情報に事故情報が載ってしまうおそれを懸念するが,弁護団は,上毛ローンに対し,個人の返済能力に対する取り扱いにつき,信用情報機関に提供することを停止するよう求める。そもそも,上毛ローンに関しては,消費者金融業者としての法的対応を自ら放棄したものであり,返済能力に関する調査のために,個人情報を利用することは,信義則上禁じられなければならないからである。