介護認定と不服審査請求
介護保険サービスを利用するには,まず,市町村の窓口に介護認定の申込をすることになる。サービスが必要かどうかの認定審査を受け,認定結果の通知を待つ。ところが,2006年の介護保険法の改正以降,認定ランクが軽くなり,サービスが減らされている。
問題は,介護保険を利用するための手続はもちろんのこと,必要なサービスが「使えません」と言われてしまったときの相談先が実質上ない。本来,市町村の窓口が相談先であるが,「行政不服審査請求」などの手続を教えることは,実際上詳しくないし,また,自己矛盾でもあるからだ。
そこで,当職において,実際「行政不服審査請求」を行い,その流れを実体験した。この請求のもつ意味は,介護認定がいかなる手続で,また,いかなる内容でなされているかがわかってくることだ。
特に,介護保険法第183条に基づく要介護認定調査の実施報告を,個人情報保護審査請求により,情報開示を受けることができた。同開示により,不服審査請求をしなければ,介護認定の問題性を浮かび上がらせることはできなかったであろう。具体的には,「調査員は認知症による問題行動があると推測も判断もできず,・・・・介護保険制度が日常生活上の介護の手間がどれだけかかるか等が判断基準となるため,軽い認定結果となった。」との理由が明確化されたのである。
残念ながら,現在の介護認定手続だけでは,実情にあわない介護認定をされ,手続から落ちこぼれてしまった高齢者を救済する相談先は,存在しないというべきである。そこで,弁護士がその救済先・相談先になるべきだが,今,まさにその途上と言わざるを得ない。
弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/