現地調査

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1,取引の目的となる宅地又は建物の調査
 弁護士として、管財物件を宅建業者に対して、評価・処分を依頼することが多くあります。
 その際、宅建業者は、売り主から対象物件の説明を受けることは特にありません。現地調査のみに頼らざるを得ないのです。今までのポイント確認と納得の作業はもとより、大事な点は、対象物件に対する全体の印象を把握することです。例えば、破産者が建築会社であれば、その本社建物には、通常建物と違うプラスαを感じ取ることができます。そのプラスαを買い主に対し説明できるか否かが、当該宅建業者の感覚や経験の差であろうと思います。
 ともあれ、管財人から処分を依頼された時点で、直ちに現地調査による報告を上げられるフットワークの良し悪しが、次の依頼に結びつくことになります。
2.生活関連施設の調査
 LPガス取引は、大手業者が、地元既存業者に対して供給切替の攻勢をかけております。つまり、大手業者が顧客に対し、切替をしてくれれば、サービス(供給単価の引き下げや、切替時の手数料交付)をするのです。これに対して、既存業者は、顧客の建物建築時に無償でガス配管工事をして、供給契約をしているので、これに対する回収を求めてきます。
 しかし、テキスト中に記載してあるガス屋内配管については、建物自体に附合すなわち、建物所有者に屋内配管の所有権が認められることになります(民法242条判例)。他方、既存業者は、附合を前提に建築時に特約をかわすことで、「償金(補償金という意味)」を請求することができます(民法248条)。
 このように、LPガス供給切替に関する一事例をとっても、結論に相違が生じますので、買い主に対し、安易に説明をすることは、誤導を生じさせる懸念があります。
 取引に際しては、十二分の注意が必要であるとともに、さらなる法的専門家からの助言を必要とする場合も存します。

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