離婚時の年金分割

|
1 目的
  平成19年4月1日から「離婚時の年金分割」制度が施行される。厚生年金保険法に基づく請求すべき按分割合に関して,以下説明する。
2 当事者
・平成19年4月1日以降に離婚等をした元夫婦又は男女(乙類審判、乙類調停)
驂婚姻中の夫婦(離婚調停、離婚訴訟、婚姻取消訴訟)
*夫婦の一方あるいは双方が死亡した場合、相続人が「年金分割」申立をすることはできない。係属中の年金分割事件は、当然終了となる。
3 申立
・管轄
 相手方の住所地を管轄する家裁(特別家事審判規則17条の6)
 *乙類調停の場合には、相手方の住所地を管轄する家裁又は当事者が合意で定めた家裁(家事審判規則129条1項)
提出書類
 ①申立書
 ②戸籍謄本
 ③社会保険事務所から交付された「年金分割のための情報通知書」(情報提供日から1年以内のもの、厚生年金保険法78条の3,同4)
 ④収入印紙1200円、予納郵便切手800円。
・申立の実質的期間制限
   原則として離婚等の翌日から起算して2年を経過すると標準報酬改定請求をすることができなくなる(厚生年金保険法78条の2)ことから、乙類審判・乙類調停の申立が許されなくなる。
髻離婚等の時期
   離婚等の日が平成19年4月1日以降であること。
4 審理手続
  ・乙類審判の進行
   原則として、書面審問(別紙照会書参照)を行った上で、審判する。
   按分割合を2分の1と定めることが原則とされるから、まず、書面審問により2分の1以外の割合を定める事情の存否を確認した上で、これがなければ、そのまま原則通り審判をすれば足りるから。
なお、審判の申立がされた場合でも、原則として付調停にするという通常の乙類審判の取り扱いをする必要はない。
 ・乙類調停の進行
   相手方呼び出しの際に、別紙照会書を同封し、期日に提出を求める。
基本的に、寄与の程度等に関する当事者の言い分に基づき柔軟に調整が行なわれる。明らかに按分割合を2分の1以外の割合で定めるべき例外的事情がありそうな場合以外は、原則2分の1で定められる。
調整が難しい場合は、1,2回で審判移行する。
  ・離婚調停の進行
   年金分割事件を付随申立した場合、その旨の書面に受付日が記載される。
・主文、調停条項
   原則、情報通知書を別紙として審判書、調停調書又は判決書に添付し、引用される。
「申立人と相手方との間の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を、0,5(あるいは、0.3など)と定める」(審判・調停)
「原告と被告との間の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を、0,5(あるいは、0.3など)と定める」(訴訟)
6 事件終了後の受領資料
審判書、調停調書又は判決書の謄本又は抄本
7 按分割合に関する考え方
 ・制度趣旨
ⅰいわゆる合意分割の制度
当事者間の合意又は裁判所の定めにより分割割合を定めた上で、それに基づき標準報酬改定請求をする。
ⅱいわゆる3号分割
平成20年4月1日以降において、夫婦の一方が被扶養配偶者(専業主婦)である期間について、標準報酬の改定及び決定の請求があれば当然2分の1の割合で分割される。
 ・結論
  合意分割についても,原則として2分の1で分割するのが相当。  以上

About this Entry

This page contains a single entry by published on 2007年3月24日 10:30.

現地調査 was the previous entry in this blog.

住宅を建築する際に~住宅性能表示制度は周知されているか?~ is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Powered by Movable Type 4.01