弁護士は増え敷居は低くなったが……

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 相談者から当職のもとに,弁護士から内容証明郵便が送られてきたので,至急相談したい旨の連絡があった。そこで,送付された内容証明郵便を拝見すると,相談者に対する請求内容が記載されてはいるが,その文面は依頼者が弁護士に説明した内容をそのまま聞き取り書き写したものと思われるものだった。そこには,裸のままの苦情が記載されており,いったん法的な濾過をし,法的根拠を有する請求内容として構成し直したものではなかった。そして,このような内容証明郵便が一件にとどまらず,何度か見受けるようになってしまった。思いを巡らすと,巷では法曹人口問題の過剰や法科大学院教育の問題が取り沙汰されている。

 そして,新60期では,実務実習に入る前に1ヶ月間の導入実習が行われたが,新61期からは導入修習は行われてない。当職は,司法修習担当となっているが,法科大学院教育,新司法試験と司法修習との間にあるギャップを放置された状況で,導入修習を経ない実務修習にジレンマを感じざるを得ない。

 冒頭の問題の所在もまた,司法修習の内容に起因するものであろう。損害賠償や金銭の返還請求をするにあたっても,請求するための原因事実が記載されなければならない。ただやみくもに,諸事情を書き連ねられたとしても,それは単に苦情の羅列でしかない。それでは,法律家同士の共通の土俵で闘うことはできないではないか。

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This page contains a single entry by published on 2008年4月26日 10:46.

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