舟木諒

 弁護士の舟木諒です。

  先日,藤岡市のショッピングセンター,スーパーセンターフィールにて,「被害回復の実務」についてお話させていただきました。  詐欺グループは,携帯・口座・受け子など多数の関与者・ツールを使って犯罪を行っています。これは,被害者側からみると,振込口座,携帯番号,渡した人相等,末端の関与者の情報があるだけということです。このような末端の関与者は,アルバイトであったり,借金のためであったりで,十分な資力を有していないことが多く,被害回復を困難にさせています。  事後的な救済が容易ではない以上,事前に被害に遭わないために対策を講じることが重要です。私は,日ごろから,非日常的な事が起きたら第三者に相談するということを意識しておくことしかないと思っています。手口を知っていても,手口は日々変化するため,必ずしも万全ではありません。むしろ知識がある人が騙されるといった報告も散見されているとおりです。第三者に話すことで,ひとまず冷静になり,詐欺グループのペースにはまらないことができるのです。  法律家(弁護士・司法書士)はもちろん,消費生活センターの相談員や民生委員も,守秘義務を負っており,外部に秘密が漏れることはありません。「非日常的なことが起きたら相談を!」これを意識し,詐欺被害撲滅につなげましょう。  当日は,群馬県警の音楽隊の演奏のほか,富岡市くらしの会による詐欺被害実例の演劇,かぶら自動車学校による安全運転講演などが同時に開催され,多数の方が参加されました。

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介護事故のトラブル対策

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弁護士の舟木諒です。

 

一般社団法人認知症予防&サポート研究所アンクル(太田市上小林町229-1)において,「介護事故のトラブル対策」と題して,勉強会を行いました。

介護事故が起きた場合でも,施設に責任があるとは限りません。高齢者の自立やプライバシーからすれば,避けられない事故があります。

責任の根拠である安全配慮義務や結果回避義務(過失)の内容は,利用者の状況・能力・事故状況に応じて,個々具体的に判断するしかありません。そのためにも,日ごろから,利用者の状況を正確に把握し,記録するとともに,能力に応じたケアプランを作成・実践していく必要があります。

参加者からは,『「ケアプラン」に利用者のリスクについて,書けば書くほど責任が重くなるのか。あくまでも本人の状況を正確に記載するよう指導しているが,法律的には誤りなのか』といった質問がなされました。

本人の状況は,介護記録によってのみ明らかになるものではありません。家族の証言や受傷時の診断書,認定審査票など,施設以外の証拠により,利用者のリスクは明らかになります。にもかかわらず,ケアプランですら本人のリスクについて考慮していないとなれば,義務を果たしていないとして,責任が認められやすくなることにほかなりません。

責任を負わないためには,義務を果たす,すなわち,本人の状況を正確に把握し,記載し,それに応じたケアを実践することに尽きるのです。

介護事故が起きたときの対応,考え方,リスク管理についての研修については,随時受け付けております。ご要望の方は弁護士法人龍馬まで御連絡ください。

 

弁護士法人龍馬 http://blog.okonogi.jp/

執筆の御報告

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 弁護士舟木諒です。

 「介護事故と法的手続き」第3回の連載が掲載されました。

 介護事故が発生した場合に,施設関係者にどのような民事上・刑事上の責任が生じるかという点(前号からの続き)と賠償責任保険など,介護施設に関連する保険の仕組みについてご紹介しています。施設関係者の方は,是非ご一読ください。

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執筆の御報告

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 弁護士の舟木諒です。

 

 「高齢者安心安全ケア 実践と記録」2014年9・10月号(㈱日総研出版)に, 「介護事故における事業所・職員の法的責任と事故予防」が掲載されました。

 同号では,弁護士への相談現場からみえる,「介護事故が裁判へ発展していく要因」について紹介しています。

利用者(家族)と施設では,情報・知識に格差があることを意識した上での十分な「情報提供」をすること,事故時における対応,家族への報告事項の整理など体制を整備しておくことが重要となります。ご興味のある方はご一読ください。


弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

セルフケアプランの策定

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  弁護士の舟木諒です。

  
   先日,「医療と介護の連携フォーラムin前橋」事業の一環で,ワークショップ「丸投げしない老後の暮らし方」に参加いたしました。

1 ケアプランとはそもそも何か?
 自ら作れなくても,ケアプランの考え方を知れば,丸投げでなくケアマネージャーからの適切な補助を得ながら自分に合ったケアプランの策定ができます。
 講演中,紹介された3点は,非常に感銘を受けました。
① 介護保険給付の限度額まで無理して使うのではない。自分がしたいことを中心に考えなければ,自分の暮らしではなく,制度に暮らしを合わせ,疲れてしまうだけである。
② ジグソーパズルのように1週間の予定で空いている日に何かを埋めたがらない。埋めれば自由な時間がなく,自分がケアプランに支配されていくようになる。
③ 介護保険の利用だけに縛られない。自費で好きなことができることを考えればよい。
 すなわち,ケアプランの基本は,「どう生きたいか」がまず最初であり,その中で,介護保険を利用できるものを当てはめていくという順序です。これとは逆に介護保険では「こういうサービスが利用できる」から,「利用する」と暮らしを変えていく発想ではないのです。
2 事前の表明の重要性!
 ケアプランについても,利用者が「自分はこういう風に生きたい」という意思表示ができる場合には,その思いを反映することはできるでしょう。しかし,意思表示ができない,判断能力がなくなった後では,本人の生き方を周りの家族が決めざるを得ません。残念ながら,脳梗塞や突発的な事故によって,介護保険を利用せざるを得なくなることも少なくないのです。
 事前の準備が必要な点は,任意後見契約や遺言,家族信託,医療に関する意思表示など全てに通じるものです。
 自分らしく生きるには,自分らしい生き方を表明できるときに準備しなければ,叶いません。
 実際,グループで家族になりきってロールプレイイングを行い,家族会議を行いましたが,「何が利用者にふさわしいか」という視点から考えているはずでも,それぞれの意見は,異なりました。例えば,「怪我が大変だから何もしないように」「周りが全部やる」という意見は,本人のためを思っているものですが,本人が「できる限りやりたい」という意向を持っている場合には,上記意見は,本人の「自分らしさ」を実現しているはいえません。

 今回のワークショップで講師をされた全国マイケアプランネットワークは,事前の意思表明をするために「マイライフプランの玉手箱」という冊子やケアプランを自分で立てることができる冊子として「マイケアプランのためのあたまの整理箱」を策定しているようです。

 私自身,考え方の基本を学ぶ良い機会でした。


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弁護士の舟木諒です。


1,不当条項の是正が実現されました!

私も加入しているNPO法人消費者支援群馬ひまわりの会は,家庭教師の派遣業者に対し,契約条項の見直しを求めていました。

 今般,事業者側から,当会の申入れを受け入れ,自主的に条項を変更したとの連絡を受けました。

 消費者の交渉力の弱さに乗じた不当な利益の確保は本来の事業活動による収益ではないことを認識すべきです。

 今回の事業者側の早期対応には,敬意を表するとともに,今後も消費者目線での事業活動の展開を願うばかりです。

2, 契約条項は常に有効とは限らない!

 「契約条項に書いてある」としても,下記のとおり,法律上「無効」と判断される場合があります。他にも「一切責任を負いません」というような条項も消費者契約では,無効とされるものです。

このような条項を放置しておけば,未来永劫,消費者被害が生じる事になりかねません。「これはおかしいのでは?」という素朴な疑問を持たれた方,情報をご提供ください。

 

 今回申し入れを行った具体的な内容については,以下のとおりです。若干専門的になりますので,ご興味があれば。

1,中途解約・違約金の規制

法律上,家庭教師派遣等の「特定継続的役務」については,消費者から中途解約をすることが認められております。また,当該契約を消費者が中途解約した場合に,事業者が取得できる違約金については,上限が定められております。

具体的には,解約時期が特定継続的役務の提供開始後である場合,①提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び②通常生じる損害の額の合計額に法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える違約金条項は無効とされております。

そして,①の特定継続的役務の対価に相当する額は,「契約時」での単価が上限と解されており,契約時点の単価を上回る金額で再計算をすることは許されておりません。

2,解約時の単価を変えるとは?

例えば,家庭教師派遣の代金が1年コースでは12万円(1か月あたり1万円),6か月コースでは9万円(1か月あたり1万5000円)のように契約期間によって,1か月あたりの単価が異なるとします。

Aさんが,1年契約を締結した後,6か月で解約した場合,①「提供された特定継続的役務の対価」は,契約時の単価を元に6万円(1か月1万円×6)となるはずです。

ところが,事業者によっては,解約時点では,6か月しか経過していないことに着目し,あたかも当初から6か月コースを締結したものとみなし,1か月あたり1万5000円の単価で計算する業者がいます。

そのため,提供された役務の対価は,9万円(1万5000円×6)と計算され,差額の3万円が請求されたり,消費者が一括払いで先に支払っていた場合には,3万円しか返還されなかったりすることになります。

このような解約時における単価を変更する規定は,特定商取引に関する法律によって,無効と考えられます。

今回は,上記のような規定について,是正を求め,それが実現したものでした。

今後も,このような不当条項の申し入れ活動を継続して参ります。

 

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 先日,板橋弁護士と共にNPO法人において,「介護現場におけるリスクマネジメント」と題し,講演を行いました。

 講演内容は,主に①介護事故による責任について,②日常的なリスクヘッジとしての介護記録の意義,記録のポイント,③家族との信頼関係の構築によるトラブルへのリスクヘッジという構成です。

 

 介護事故のリスクを減らすというと,事故を防ぐために高齢者を拘束したり,活動を制限したりという安易な発想に繋がりかねません。しかし,介護は,高齢者の残有能力の活用,尊厳の確保という視点に沿ったものでなくてはなりません。決して高齢者=危険と捉えるべきではありません。

 介護施設での事故は生じてしまうものです。事業者としては,事故が起きないように要求される義務を果たしていれば,法律上の責任は負いません。「事故=法的責任」ではないことをまず確認すべきです。

 

 ところで,最近,実際に介護現場における事故がトラブルを招く例は増えてきていると思います。

 その原因の一つは,家族との認識・知識の差が影響しているのではないでしょうか。 

 利用者や家族にとっては,施設に預けた以上「安全を保証してくれる。ケガなど生じないようにしてくれる」と思いがちです。施設設置基準の「3対1」というものについても,常勤換算というものではなく,夜間でも常に「3人に1人」は職員がいてもらえるという誤解も珍しくありません。

 事業者にとっては,「常識」でも,家族・利用者では「常識ではない」ことはあります。

 事業者側が,この認識の溝を埋めるべき努力をする必要があることは,共感していただけるのではないでしょうか?

 例えば,サービス説明書といったものを作成し,そもそも介護サービスがどのようなものか,高齢者が環境の変化にどういう事態を招きやすいのか,どのような事故のリスクがあるのかという説明をすることが良いと考えています。できる限り,絵の入った簡潔なものがいいでしょう。

 また,利用者が日々どのような生活をしているのか,定期報告をしてはいかがでしょうか。家族の方は,利用者がどのような生活をしているのか,どのようなことに興味を持っているのか,それについて施設がどう配慮してくれているのかが「見える」だけで,施設への信頼が異なるのではないでしょうか。

 現場での具体的な事故において,まだまだ法的な分析・判断がなされていないと思います。

 今後は,介護施設の方との意見交換,介護記録の研修や職員への出張研修などを行いたいと思います。ご興味のある方はお声がけください。

 

 弁護士 舟木 諒 

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適格消費者団体を群馬に④

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弁護士の舟木諒です。

団体設立に向けて,シンポジウムを行います。
適格消費者団体の設立は仙台,熊本,神奈川など各地でその気運が高まっています。 
群馬でも頑張ります!

消費者シンポジウム詳細

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 先日,職場におけるセクハラ・パワハラの防止と題し,講習を行いました。
 セクハラについては,特に「相手の意に反する」かという点を,安易に思い込まないことが重要です。つい自己の価値判断で,「これぐらい特に気にしないだろう」と考えてしまうのが人間だからです。ちなみに,本年7月1日から指針が改正され,「同性」に対するものもセクハラに該当することが明確になりました。
 パワハラについては,「業務の適正な範囲内」かどうかという点が難しいところでしょう。ともすれば,パワハラをおそれ,上司が部下に対し何の指導もできなくなる等といった声を聞くことがあります。しかし,これが誤りであるのは明らかです。そもそもパワハラを無くす目的は,終局的には,職場環境の維持です。指揮命令ができない環境が良い職場環境とは到底言えないからです。
 ハラスメントのある職場は,被害者職員だけでなく,全体の職務の効率を低下させ,収益に影響を及ぼすことがあると指摘されています。
 新年度を迎えるにあたり,1度改めて「ハラスメントをなくす」ということを個々人が確認し,職場環境の維持・向上を図ってみてはいかがでしょうか。
 ところで,顧問弁護士の活用法として,従業員からのハラスメント被害の通知先窓口となることができます。また,ハラスメント委員会などを設置されている会社であれば,オブザーバーとなることもできます。
 是非ご検討ください。

 弁護士 舟木  諒
 
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詐欺被害

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 平成25年度,オレオレ詐欺などの特殊詐欺被害は,過去最悪の487億円に上ります。

 高齢者が今まで貯めてきた預金の大部分について,被害にあったという相談を受けると,単なる財産権侵害にとどまらず,生存権侵害ともいいうるのではないかと強い憤りを覚えます。
 最近では,口座凍結を免れるために,ゆうパックで現金を送付させたり,現金を取りに行くなどの方法での被害が増加しているようです。
 投資被害については,「会社」だけではなく,関与した「個人」を如何に探知し,責任追及していくかが重要になります。早期に対応すればその分回収の可能性は高まります。
 疑問に思ったら消費者生活センターや弁護士などにご相談ください。
 なお,群馬弁護士会消費者問題対策委員会では,平成26年3月14日(金)午前10時から午後13時まで,「全国一斉投資被害110番」として,無料電話相談を実施します。連絡先は,027-232-7744です。

 弁護士 舟木 諒
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