弁護士法人 龍馬: 2013年2月 Archives

下村博文文部科学相に期待する。

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 1.2013年2月23日,弁護士法人龍馬・おこのぎが事務局となっている群馬博友会が,下村文部科学相の講演を主催した。実を言えば,下村博文氏とおこのぎとは高崎高校の同級生だからである。大臣となり多忙な中,日程を調整していただき,出身である群馬に戻っての講演であった。落ち着いた話しぶりと具体的な事例を取り上げての内容であったので,大変心にしみいる感動を得た。その一部を取り上げたい。

 

2. 下村氏曰く,日本の教育制度は,多様な人材を教育する体制となっていない。
 200ある能力の内,わずか6つの能力について高校入試・大学入試で試されることになる。しかも,英数国などの科目ができなければ,入学することさえできず,教育の機会を与えられないことになる。
 しかし,社会実務で必要な能力は,このような試験科目にとどまらない。人を如何にまとめることができるなど,社会実務では最も必要とされる能力である。たとえば,漢字の学習障害を持っている子に,無知ゆえに「がんばれ」と漢字学習を押しつけることを反省すべきである。

 

3.本講演で,下村氏が上記の内容を訴えても,県を代表する方は理解を示さず,学習できないであろう子に対しても「がんばればできるんだ」という押しつけを行い続けようとしている。上記例をとってみても,日本の教育は,多様な人材を生み出す仕組みにはなっていない。やはり新しい教育の仕組みを作り上げるためには,文部科学大臣のトップダウンで行政を動かしていく必要があろう。

 

4.下村博文氏が文部科学大臣になられたことは,日本の教育に機会均等を実現できる仕組みが作り上げられるであろうと期待できる。

 

参照: 上毛新聞13.02.25.pdf

 

農地利用と信託

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弁護士小此木です。

今回は,農地利用と信託というテーマでお送りします。

 

1.農業を成長分野とするために
 2013年2月18日,産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)では,「農業を成長分野と位置づけて産業として伸ばしたい」と強調し,農地のフル活用を目指す。
「農地の活用では,全体の1割弱にあたる約40万ヘクタールの耕作放棄地の解消に取り組む。高齢で農業をやめる農家から都道府県が農地を一時的に借りる仕組みを設け,借り手が見つからない場合には農地を集約したうえで意欲のある農家に転貸する。すでに耕作放棄地となった農地は,他の農家が使えるようにするための手続を簡素化する。」という政策です。

2.農地を活用するためには,信託という仕組みを用いることです。
 委託者兼受益者を高齢者農家,受託者を農業法人として,高齢者福祉対策を行いつつ,農業を成長分野として農地活用をすることです。農家は,農地を信託財産として,農業法人に受託し,農地から得られる利益を言わば賃料として受益することになります。
 農家では,次世代の農業従事者がおりません。また,現在,農業従事者の平均年齢は,66歳です。農地を活用したくとも,従事者がおらず,ましてや自身の年老いた後の生活が心配となっています。農家にとって,信託という仕組みを用いて,農地という資産を活用することで自身の老後対策を行うとともに,政府が意図する農業を成長分野とする政策に合致することになります。

3.農地売渡信託等事業・農地貸付信託事業
 群馬県でも,財団法人群馬県農業公社が,農地売渡信託等事業や農地貸付信託事業をHP上で掲載していますが,実態として信託が締結されてはいないようです。
それは,委託する側の農家にとって,老後の安心が全く確保されていないからでしょう。農地の活用だけを声高らかに打ち上げても,農地を手放すことになる高齢者農家が安心した老後の生活を送ることができなければ,信託の利用は促進されません。
 そのためにも,やはり,農地の信託と一体的に高齢者福祉信託を活用しなければならないのです。
 
 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/


 

高齢者問題と信託

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弁護士おこのぎです。

今回は,「高齢者問題と信託」というテーマで弁護士法人龍馬が取り組んでいる内容についてお話しいたします。

 

第1.信託を利用する~その1「親亡き後の問題」

1.2013年,弁護士法人龍馬は,高齢者の方々に,信託を利用できるように準備しています。
 「信託」とは,財産を信頼できる第三者(受託者)に移転して,受託者が自己の固有財産と区別し管理,運用,処分することから生じる利益(受益)を受益者に与えて仕組みです。

2.たとえば,ア.知的障害のある子供をかかえた親は,自分が生きている間は子供のために資産を確保し,その生活を支えていきますが,いざ自分が亡くなった後,誰がその子供の生活を支えていってくれるのでしょうか(いわゆる「親亡き後」の問題)。
 イ.ともに人生を歩んできた配偶者が要介護状態になったとき,自分がいる間は自ら介護を行い,蓄えた資産を配偶者のために活用することができますが,自分が亡くなった後,いかに配偶者の生活を維持できるでしょうか(「老老介護」の問題)。
 ウ.身体障害ある者も,生活上,様々な面で不便を強いられ,現実的な資産管理等に困難を伴っています。

3.そこで,「信託」の利用拡大が求められているのです。
 遺言で財産を遺贈するにしても受遺者となるべき者が自ら財産管理を行うことができないのです。遺言者が亡くなった場合,遺言によって財産を知的障がい者に引き継ぐこと自体は可能です。しかし,せっかく財産を取得した知的障がい者には遺贈を受けた財産を管理する能力が全くないのですから,そういう場合には法定後見制度を利用しなければならないのですが,法定後見が開始されるまでにはタイムラグもあり十分な支援ができるわけではありません。もちろん財産を遺したいと考えている父母が我が子のために我が子を代表・代理して第三者と任意後見契約をするということは可能でしょう。しかし,それまで見守りを行っていない任意後見受任者への引継問題が生じます。これらの問題を解決できる信託は利用しがいがある制度なのです。


第2 信託を利用する~その2「シェアハウス構想」

1.さらに,弁護士法人龍馬が考えている「信託」利用例を挙げてみます。
 年齢を重ねていって残された人生も住み慣れた街や地域で住み続けていきたいという想いがあります。その想いを満足させるようなことを「信託」で実現したいと考えています。

2.グループ住宅とかグループキッチンの「シェアハウス構想」です。
「夫が亡くなった後は気心が知れたみんなで仲良く生活しよう」とか,「一人になってしまったら食事を作ったりするのも大変だから,持ち回りで食事ができるようにしよう。」等というものです。
 例えば自分には,広い自宅があるがお金はないという人と,自宅はもっていないが預金はあるという人が,それぞれ自分がもっている資産を受託者に委託することによって,グループ住宅を実現することが可能となります。

弁護士法人龍馬ホームページhttp://www.houjinryouma.jp/