弁護士法人 龍馬: 2011年5月 Archives

高齢者施設訪問

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 現在,A老健施設入所中の被後見人M氏の体調確認に伺いました。同時に今後の施設入所について検討するため,Bグループホームと有料老人ホームCを訪問しました。

 

 Aホームで本人と面談したところ,M氏の状況は周囲の入所者との交流も円滑にいっていることがわかり,施設担当者にもなじんでいました。体調も,総合病院から転所して以降,その体調も順調に回復しているようでした。

 

 A老健施設の医師,診療課長,支援相談員及び看護士2名と面談し,M氏の監護状況を確認しました。来所当初には,ふらつきがあり,車いすでの移動でした。食事は,自分で食べることができますが,時折ごはんで遊び始めることがあり,食事の見守りが必要でした。

 夜間一人歩きの際,ふらつきがあるので,リハビリを行っています。また,立ち上がり時に,転倒の危険性があり,足の力をつける必要があるため,座っての体操をしています。

 

  BグループホームとC有料老人ホームを訪問し,両施設の施設長K氏から,施設入所関連の説明を受けました。Bグループホームは,認知症対応型共同生活介護所であり,一般家屋を改造し,庭があり,とても家庭的な雰囲気を持つホームでした。介護者もベテランで,入所者間の関係も円満であると見受けられました。基本料金は,月9万円あるいは10万円となっております。

 

 C有料老人ホームは,新築建物で,個室・廊下・広場も広く,快適な施設でした。介護者は,若者が多く,活性化している状況と見受けられました。基本料金は,月12万1000円あるいは13万1000円となっております。

 

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 M氏は,現在の施設環境をいやがらず馴染んでいる状況が認められます。従前の一人暮らしでは,栄養状況が悪化したことから,自宅での介護よりも,施設内での介護がより良いと考えられます。

 

 

 上記2施設を訪問した結果,Bグループホームが,M氏の生活環境には相応しいのではないかと考えています。

 

 

 

介護認定と不服審査請求

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  介護保険サービスを利用するには,まず,市町村の窓口に介護認定の申込をすることになる。サービスが必要かどうかの認定審査を受け,認定結果の通知を待つ。ところが,2006年の介護保険法の改正以降,認定ランクが軽くなり,サービスが減らされている。

 

  問題は,介護保険を利用するための手続はもちろんのこと,必要なサービスが「使えません」と言われてしまったときの相談先が実質上ない。本来,市町村の窓口が相談先であるが,「行政不服審査請求」などの手続を教えることは,実際上詳しくないし,また,自己矛盾でもあるからだ。

 

  そこで,当職において,実際「行政不服審査請求」を行い,その流れを実体験した。この請求のもつ意味は,介護認定がいかなる手続で,また,いかなる内容でなされているかがわかってくることだ。

 

  特に,介護保険法第183条に基づく要介護認定調査の実施報告を,個人情報保護審査請求により,情報開示を受けることができた。同開示により,不服審査請求をしなければ,介護認定の問題性を浮かび上がらせることはできなかったであろう。具体的には,「調査員は認知症による問題行動があると推測も判断もできず,・・・・介護保険制度が日常生活上の介護の手間がどれだけかかるか等が判断基準となるため,軽い認定結果となった。」との理由が明確化されたのである。

 

  残念ながら,現在の介護認定手続だけでは,実情にあわない介護認定をされ,手続から落ちこぼれてしまった高齢者を救済する相談先は,存在しないというべきである。そこで,弁護士がその救済先・相談先になるべきだが,今,まさにその途上と言わざるを得ない。

 

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限定承認って何?

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1 限定承認とは?

 

相続が生じた場合,相続人が取り得る選択肢として,①相続を承認する②相続を放棄する,そして,③相続の限定承認をする,という3種類の選択肢があります。

相続財産のうち,不動産や預貯金などのプラスの財産が明らかに多いのであれば,①相続を承認すればよく,他方,借金等のマイナスの財産が明らかに多いのであれば,②相続を放棄してしまえばよいので簡単です。

しかし,相続財産がプラスとなるかマイナスとなるか分からない場合はどうすればよいのでしょうか。

 

このような場合のために,限定承認という手続があります。限定承認手続を行うと,相続債務を弁済しなくてはならない責任は,積極財産の範囲に限定されます。すなわち,相続人は,仮にマイナス財産がプラス財産を上まった場合でも,プラス財産を超えてマイナス財産を支払う必要はありません。他方,プラス財産が余った場合は,残ったプラス財産を相続することができます。

したがって,借金がどれくらいあるのか分からず,相続財産が残るかどうか分からない場合は,限定承認手続をとることが手段として考えられます。

また,限定承認手続では,先買権制度という制度が認められています。

 先買権制度を利用すれば,相続人は,裁判所の選任した鑑定人による評価を受けたうえで,その評価額以上の金額を支払うことにより,確実に遺産を取得できます。

 相続はしたくないが,長年住んでいた住居を手放したくないので,住居は被相続人が確実に買い取りたいなどという場合に有効です。

 このような制度は相続の放棄では認められないことから,これも限定承認手続のメリットの一つといえるでしょう。

もっとも,下で示すように,相続の承認や放棄と比べて,限定承認手続は手続が複雑であり,費用もかかるため,ご自身で判断される前に,弁護士などの専門家に相談された方がよいと思います。

 

2 手続の流れと期間の目安

 

相続の開始

 ↓  3か月以内

① 限定承認の申述

   ↓  1週間~

② 限定承認申述の受理の審判

   ↓  5日以内(相続財産管理人が選任されている場合には選任後10日以内)

③ 相続債権者への債権届出の催告・公告

   ↓  2か月以上

④ 清算手続(換価,弁済)  ※ 先買手続 

   ↓相続財産の性質(預貯金・不動産)や先買権を行使するか否かによって異なる

終了

 

 弁護士 金 井   健

 

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