2015年6月 Archives

弁護士板橋です。

 今回は,第5回見える事例検討会全国フォーラムのご案内です。

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認知症のお年寄りを抱える地域の課題を共有する公開シンポジウムになります。多職種協働により,課題を解決することを目的としております。

 私は,パネルディスカッションのパネリストとして登壇する予定です。

 

 群馬県内では,桐生見える事例検討会が行われており,私は継続的に参加しております。

見え検は,医療・介護の現場の状況を知ることができ,大変勉強になります。また,実際に顔の見える関係作りに役立っており,たくさんの出会いをいただいております。

地域包括ケアシステム構築の一助になると思います。

ご興味のある方はぜひご参加ください。

日時:20151031日(土)午後230分~午後630

会場:JR高崎駅直結のホテルメトロポリタン高崎

(東京駅から1時間弱、上野駅から約45分)

参加費:フォーラムは2000円(当日券),

情報交換会は6000円(当日券)を予定

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

 弁護士板橋です。
 昨年に引き続き,一般社団法人群馬県介護支援専門員協会主催の「ケアマネジメント群馬フォーラムXⅡ 皆で築こう地域包括ケアシステム-ケアマネは何をすべきか-」へ参加して参りました。

 公開講座として,国が進めている地域包括ケアシステムについて,群馬県健康福祉部医療介護局地域包括ケア推進室室長の武藤幸夫氏から群馬県の取り組み等について講演がありました。
 正直な感想として,システムの必要性はよく分かりましたが,群馬県の将来ビジョンについては,抽象的でよく分かりませんでした。群馬県には,県民のためにぜひとも頑張っていただきたいところです。
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 もう一つ,公開講座として,千葉県柏市の先進的な取り組み「柏プロジェクト・柏モデル」について,柏市医師会の古田達之医師より講演がありました。
 数年間に渡る具体的な取り組みとして,システム構築方法,行政・医療・介護の連携方法,市民啓発方法についての紹介があり,「流石」と思う反面,「相当大変だな」との感想を持ちました。また,行政と医師会の強力なタッグがあって初めて成り立つのではないかとも思ってしまいました。群馬県内でもぜひ,同様の動きがあればと思います。

 午後は,ワールドカフェスタイルにより,地域包括ケアシステムを構築するために,個々の参加者が何を出来るか?について話し合いがなされました。基礎資格の異なるケアマネさん達から様々な意見が出ましたが,共通していたのが,「医師との連携(必要性が高いが実現困難)」ということでした。

 高齢者を取り巻く医療・介護業界は,多職種・多事業所が関わります。関わりを持つ方々の顔が見え,スムーズな連携が図れることが,高齢者本人の快適な生活には非常に重要であると強く感じました。そして,連携にはまだまだハードルが高く課題が多いことも分かりました。

 多職種による連携を可能にするには,どのようなシステムを構築するのかという問題も重要ですが,現実的には,相互に顔が見え,相互の職種の理解が進み,相互の人となりが分かること,というアナログ的な側面が非常に重要ではないかと感じています。

 また,連携と取るためには,多職種が相互にフラットな関係を構築できなければなりません。高齢者ご本人に関わる方々が,高齢者ご本人に纏わる有益な情報の共有ができることが望ましいでしょう(個人情報保護の問題は生じますので,弁護士の出番でしょう)。

 2年連続で参加してみて,この1年間にケアマネさんの知り合いが増えたことを実感しました。地道ですが,それぞれの専門職種の方々が,少しずつ世界を広げて行き,連携を深めていくことが大切ではないでしょうか。

 自戒を込めて…
 まずは,できることから行動に移しましょう!

弁護士法人龍馬HP 
http://www.houjinryouma.jp/

カンボジアの学校は,午前・午後の2部制となっています。そのため,生徒は半日しか学校で教育を受けられないことになります。裕福な家庭であれば,足りない教育を私費で受けさせることもできるかもしれません。しかし,多くの家庭ではそれはできません。このような教育格差を是正するために活動している日系のフリースクールにも訪問させていただきました(写真)。子ども達の屈託のない笑顔がとても眩しかったです。

 

 ところで,最近,海外で活躍する日本人の特集をよくテレビで目にするようになりました。この日系のフリースクールの活動のように,まだまだ知られていない日本人の海外での活動がたくさんあるのではないでしょうか。今回の視察にて,カンボジアにて活躍されている方々とお会いしてそう感じました。

 

 今回の視察は,現在,王立法経大学日本法教育研究センターにて活動されている篠田弁護士の取り計らいにより,実現することができました。海外視察は,現地でのコンダクターがいないと中々実現することは難しいことで,先生には本当に感謝しております。また,カンボジア法整備支援の活動の担い手であるJICA(国際協力機構)の法律アドバイザーとして赴任されている裁判官・検察官・弁護士にも歓迎いただき,また,興味深いお話をお聞きすることができました。法整備支援の活動は,カンボジアのみならず,ベトナム・ウズベキスタン・ラオスなどでも行われているとのこと,このような責任ある重要な国際貢献を担っている方々にも,頭が下がります。

 

 今回のJICAへの視察がきっかけで,逆にカンボジア法曹関係者の群馬弁護士会への訪問も決まっています。地方レベルでの法曹の国際交流はほとんど皆無といってよく,こういったことがきっかけで国際交流が進めば素晴らしいですね。

 

 ここのところ毎年,仕事から逃げるようにして,私費で参加している各国訪問の活動ですが,小さな小さな活動が,地方と海外を繋ぐ突破口になればよいと思います。

いつか予算がつくことがあるでしょうか 笑  

 

弁護士 金 井   健





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 ところ変われば裁判変わる?

 

 裁判傍聴芸人である阿曽山大噴火さんという方の話は面白いですね。弁護士からみて当たり前になっているようなことでも,一般の人にとっては珍しいことが多いようで,視点が斬新です。でも,裁判って,日本の裁判を当たり前に考えていると,また外国で傍聴すると全然違って驚きます。

 

 まず,法廷の構造が違います。下の写真は,許可をもらって撮影したカンボジア初級審内の様子です。まあ,どちらかといえば日本に似ている方でしょうか。しかし,証言台の柵がやや高く感じます。また,写真では写っていませんが,裁判官の頭の上のところに国王の写真が掛かっています。さらに,写真には出入口も写っていますが,傍聴席には出入り口はありませんでした。裁判中に法廷内を傍聴人が出たり入ったりするのは違和感が…裁判に集中できないし。

 

 裁判の手続きについては,当然クメール語だったのでよく分かりませんでした。刑事裁判で黙秘権の告知はあったかな?民事訴訟法は日本ととてもよく似ていますから,民事事件の手続は似ているはず?まあ,ここら辺は少し傍聴しただけでは分かりません。

 

 判決文はどうでしょうか。神木先生によれば,カンボジアの判決には理由がほとんどなく,日本のそれと比べると論理に欠けているとか。法律があっても,裁判官がそれをきちんと適用できていない可能性があります。しかし,法の適用には明らかな過ちを指摘できることはあったとしても,これが正解というのはないでしょう。これは,法整備支援活動の難しさなのでしょうね。

 

 そして,これは信じがたいことではありますが,随所で聞かれる話では,裁判を受けるにあたって,裁判官にお金を渡すことがよく行われているというのです。これでは公正な裁判が行われようはずがありません。これが本当かどうかは分かりませんでしたか,しかし,そういうことがまことしやかに言われていること自体が,この国の司法権に対する信頼の低さを物語っているように感じました。

 

 裁判官の金銭の授受は賄賂に他なりませんが,こういうことが行われる背景には,法曹資格になるために多額のお金がかかるため,かかった費用を取り返すために行うという話も聞きました。試験に合格するために試験管にお金を払っているとも…負の連鎖ですね。ちなみに,カンボジア弁護士会でこのような事実があるか聞いたところ,きっぱり否定されました。

 

 最近、ヒューマンライツナウという団体が,ユニクロやジーユーと取引のあるカンボジアの工場で重要な人権侵害が行われているという疑いがあることを発表しています。カンボジアの司法権がしっかり機能していないことが,このような人権侵害の温床になっていると思われるところでもあります。

 

つづく

 

弁護士 金 井   健


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弁護士資格が国際ライセンスになる日は来る?

 

 さてさて,近年,発展著しいカンボジアでは多くの外資系企業が進出しています。日本企業の進出も増加しています。しかし,企業の進出にはリーガルリスクがつきものそんなときに心強いのは,現地法に精通している専門家です。

 

 私たちは,カンボジア唯一の日系法律事務所にも訪ねることができました。この事務所のパートナーである神木弁護士は,カンボジアの弁護士と協働して主に日系企業などに法律的なアドヴァイスを行っているとのことです。神木弁護士は,クメール語も堪能で,法文も原文のまま読むことができます。

 

 カンボジアの弁護士資格を有する者は,約900名程度(うち女性は180名程度)とのことでしたが,その中で外国語,特に日本語のできる弁護士はいたとしても極めて少ないでしょうから神木先生のように現地語の話せる日本弁護士の存在はとても重要です。他方で,カンボジア弁護士会では,カンボジア国内で外国弁護士資格ないし資格すらないものが活動していることに敏感になっています。

 

 カンボジア弁護士会の会長にお会いした際は,まず最初に外国弁護士の話題でしたから,関心の高さが伺えます。そして,カンボジア弁護士会では,特定の国の弁護士がカンボジア国内で活動したければ,カンボジアの弁護士がその国で活動できるよう協定を結ぶよう求めているようです。ちなみに,現在,そのような協定を行っている国はないとのことでした。しかし,パリの弁護士会とは前向きに話し合っているとのことです(リップサービス?)。

 

 「その国での活動」がどのようなことを意味していたのか(その国の法廷に立てるということなのか)までは判然としませんでしたが,他の国の弁護士資格で日本の法廷に立てるなんてことを認めようとしようものなら日本弁護士連合会は大反対でしょうから,協定の締結は極めて困難なことだと思います。しかし,仮に,パリの弁護士会がそのような協定をカンボジア弁護士会と結んだとしたら,法整備支援主導国である日本はどのような対応をするのでしょうか。

 

 また,このような協定が全世界で進んだらどうなるだろうかと妄想してしまいます。勿論,私が生きている間にそのようになる可能性は低いと思います。しかし,長い目でみれば,法曹資格はやがては国際資格となっていく可能性もあります。

 

 今,日本では,弁護士の数をこれまでよりも少し減らしていくような議論がなされています。もちろん,人数の問題ではないですが,来たるべき時代に備え,また議論を先導して行くには,ある程度の弁護士数を確保しておくことは必要なのではないかと思ってしまいます。

 

弁護士 金 井  健

 

つづく

 

 プノンペン市内は,インフラも急ピッチで開発が進む。今のところ,カンボジアに進出する日本企業は,現地の日本人を主な顧客とする場合が多い。そのため少ないパイを奪い合うことになる。徐々にカンボジア人向けにシフトしていくだろうか。




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 法を支えるのは人材

 

 今回私たちは,カンボジア王立法律経済大学内にある名古屋大学日本法教育センターにもお邪魔させていただきました。同センターでは,25名程度の同大学の学生さんが,日本語で,日本の歴史だったり,憲法などの基礎法だったりを学んでいるそうです。これも法整備支援の一環に位置づけられる重要な活動です。

詳しくは,こちら

 

想像はしていましたが,実際に行ってみるとビックリします。日本語で,会話は勿論,法律の講義をしても通じる訳ですから。訪問団からは,日本の労働法講義を提供しました。もちろん日本語で。ちょっと難しい内容でしたが,学生は皆熱心に聞いてくれました。こういう学生さんの姿を見ていると,それに比べて自分の学生生活はと反省しますね。今の日本の学生さん達は大丈夫でしょうか。

 

さてさて,学生の構成比は圧倒的に女性が多かったです。どこの国でも外国法(語)に興味を持つのは女性が多い?のでしょうか。そして,講義の終わりに,学生さん達に将来何になりたいか聞いてみたのです。外交官,通訳、検察官,裁判官、商社マン…いろいろありましたが,印象的だったのは,「首相になりたい」という女性が2人もいたことです。日本だとこういう発言をすると次の日からあだ名が首相か大臣になりそうですね。

とにかくこれは素晴らしいことだと思いました。日本では女性の首相はまだいないので,是非,日本よりも先に女性の首相になって下さいと伝えてきました。

 

それともう一つ印象的だったのは,弁護士になりたいと言った学生さんがいなかったことです。これは私たちにとってはとても残念なことでした。これはいろいろな理由があるようですが,一つは,カンボジアにおいて弁護士になるのはとてもお金がかかるというのです(この問題はまた次回以降)。

また,法律学者になりたいという学生もいなかったかと思います。新たな民法・民事訴訟法が制定されて,次は,メイド・イン・カンボジアの解釈学を発展させていかなければならないときですから,その担い手である法律学者がセンターの中から出てくればいいなと感じました。

 

最後に,私は,カンボジアの法律学が,日本の明治期にあたることになぞらえて「Boys and Girls,be ambitious!」って言い放って去ろうか思ったのですが,流石に自分は何様だろう?と思って止めてきました。

むしろ,この学生たちと競争できるよう勉強せねばと,反省するのでした。

 

 つづく


 弁護士 金井  健


 カンボジアの人は日本人に比べても華奢で小さい人が多いので,大学生がとても幼く見えます。


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 法律が一緒だと結論も一緒?法はどのように生まれ,実現するのか。

 

 カンボジアといえば何を思い浮かべるでしょうか?あまり思いつくところがない人でも,「アンコールワットがあるところ」と言えば多くの人が想像できるかもしれません。

 実際,アンコールワットはカンボジアの象徴になっています。国旗にも描かれていますし,アンコールビール,アンコール航空など重要な企業名にもその名前が入っています。

 

 日本とカンボジアとの繋がりといえば何を思い浮かべるでしょうか?猫ひろし?ちょっと前に,『地雷を踏んだらサヨウナラ』という,カンボジア内戦で亡くなったカメラマン・一ノ瀬泰造の生き様を描いた映画がありましたね。

 今は日本企業も多く進出しています。プノンペンにはイオンモールがあり,東横インもあります(行ったときは建設中でした)。

 

 それでは,カンボジアと日本の司法の繋がりをご存じでしょうか。かつて1970年代~80年代ころにかけて,カンボジアでは,激しい内戦がありました。そこでは,多くの知識人が殺され,国家の制度も滅茶苦茶になりました。そして,一から社会制度を作り直さなければならなかった新政府が,民法及び民事訴訟法の起草の援助を求めたのが日本なのです。そして,日本の専門家が中心になってカンボジアの民事訴訟法(2006年公布)・民法(2007年公布)が起草されました。結果として,カンボジア民法や民事訴訟法は日本のそれによく似ています。

日本は,現在も法整備支援として,民事関連法の制定や裁判官や検察官・弁護士といった法曹の養成を援助しています。法整備支援について詳しくは,法務省のHPをご覧になって下さい。

http://www.moj.go.jp/housouken/houso_houkoku_cambo.html

 

 さてさて,私たちは,このような両国の繋がりから,今回カンボジアの司法機関に訪問する機会に恵まれました。日本の支援によって法制度が整備された(されている)国の現状を見るのはとっても楽しみで,実際多くのことを感じたので,ブログではとっても簡潔にそれを書ければと思っています。

 

 少し話を戻しますが,法整備支援の成果によってカンボジアの民法・民事訴訟法は日本にそっくりです。でも普通の人が考えたら,突然、他の国の法律を持ってきて上手くいくの?その国の人は受け入れられるの?と思いませんか?

 実際,「ただ法律がある」というだけでは世の中はあまり変わらないのです。法律があって,法律文言を解釈する人たちがいて(主に学者など),それを適用する人たちがいて(主に行政・司法機関)初めて法が実現するのだと思います。したがって,法律が同じということが=同じ帰結になるという訳にはならないわけです。結果として,広い意味で日本の民事のルールとカンボジアの民事のルールはほど遠いと思います。

 また,考えてみれば,日本の民法も元はフランス民法とドイツ民法のハイブリット(1898年施行)でした。その後,我妻栄という日本社会の実態に合わせながらドイツ法由来の統一的解釈を行った優秀な学者が現れて,解釈学が大幅に進歩しました。そして,その後も,数々の議論や実務での運用に揉まれ,民法施行後110年以上経って,近々債権法が改正されようとしているというのが日本民法の現状です。

 このように,法律は,ただその法律(成文)があって実現する,「生まれる」ということはないのだと思いました。同時に,それが,法整備支援の難しさにもなっているようです。その点は次回以降。

 

 つづく。


 弁護士 金井 健

 

写真は,プノンペン市内リバーサイドのレストランより。川の向こうでは開発中のビルが建っているが,レストラン側は植民地時代の影響を残すフランス調の建物が並んでいた。法律についても,カンボジア労働法などはフランス法の影響を強く受けている。

 

 



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弁護士板橋です。
6月13日土曜日,太田市福祉会館にて,群馬県社会福祉士会東毛地区協議会主催による,家族法に関する研修会が行われます。私が講師を務めさせていただきます。

さて,介護・福祉業界において家族法はどのような関わりがあるのでしょうか?
まず,家族法とは,民法の第4編親族,第5編相続に編纂されている法文を言います。
福祉分野において,親族関係,相続関係についての基礎知識を有していることは非常に有益です。
例えば,福祉サービスの利用者に,内縁の配偶者がいるらしいが…,契約書や重要事項説明書等への家族欄にサインをしてもらっていいのでしょうか?
また,利用者にどうやら養子?・婚外子?がいるらしいけど…,利用者が相続に巻き込まれたらしいけど…,認知症が進んできたけど家族だから代理人になれるよね…,家族の一人が認知症の利用者に遺言を勧めているらしいけど…,利用者の借金を子どもたちが心配しているけど…,等々。

福祉業界の前線で活躍されている方々は,当事者やそのご家族から様々な相談を受ける立場にあります。家族法を知ること,法律家と知り合うことで,以上のようなトラブルに冷静に助言をしたり,専門化へ繋げたりすることが可能となります。
今回の研修受講により,皆さんの日頃の業務や日常生活に役立つ視点が見つかるかも知れません。
ご興味をもたれた方は,ぜひ足をお運びください。
また,一般の方(社会福祉士会会員以外の方)も資料代500円をご持参いただければ参加出来ます。詳しくは群馬県社会福祉士会ホームページをご覧ください。

研修名 相談支援従事者がつながりを創ろう
テーマ 『現代社会における家族法の理解』~相談援助職が抱える課題から~
日時 平成27年6月13日(土) 13時30分~15時30分
会場 太田市福祉会館(旧太田保健センター)
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弁護士板橋です。
今回のテーマを選んだ理由は,福祉の現場における「契約」締結場面に常々疑問と不安を感じていること,及び先日,介護事業所等において研修講師をさせていただいたことによります。

現在の世の中では,高齢者が介護サービスを受けるためには,居宅介護支援事業所,居宅サービス事業所,入所施設等々と契約を締結しなければなりません。
しかし,世の中の多くの方々は,「契約とは何か?」について学ぶ機会がありません。また,介護業界においても,学ぶ機会はほとんど無いようです。
それにも関わらず,介護業界における契約関係書類は沢山あります。

例えば,高齢者が介護保険サービスの利用しようとした場合,要介護認定申請をして,認定結果が出ると,まずは,ケアプランの作成のためケアマネージャーが所属する居宅介護支援事業者と契約を締結する必要があります。

さて,この場面で,契約にかかる書類が複数出てきます。
具体的には,「重要事項説明書」,「契約書」,「個人情報使用同意書」などです。
居宅介護支援事業者の方々は,これらの書類について,以下の点を正しく説明できるでしょうか?
・いつまでに書類内容の説明等が必要になるのか?
・誰と誰の間に(誰から誰に対して)必要な書類なのか?
 ・誰の署名・押印(記名・押印)が必要なのか?
・利用者家族から署名捺印をもらっておけば問題なし?
・利用者,利用者家族,代理人,署名代筆者,身元引受人,みなから署名・捺印をもらわねばならないか?
・各書類を作成し,署名押印をする意味は何か?
・利用者が認知症等で判断能力が低下している場合どうする? 

これらの点に関して,正しく理解をしている 事業者は極めて少ないと感じております。実際の研修においても不十分な理解の方が多数でした。
その為,利用者や利用者家族は,介護事業者(その担当者)より,闇雲に署名押印を迫られ,意味も分からず各種書類に,たくさんの署名押印をしているとの感情を抱くことになります。
もちろん,適切な説明がなされている事業所もありますし,サービスの質自体に問題の無い事業所も沢山あります。

居宅介護支援事業所等と契約をした後には,各種サービス提供事業者(訪問介護,通所介護等々)との契約が待ち受けます。
ここでも,各サービス事業者と利用者等と間で,前述した各種書類を取り交わすことになりますので,同じ問題が生じます。

上記の点は,特に難しいことではありません。しかし,学ぶ機会が無いことから,正確な理解できていないのが現状です。
特に,各種書面おける署名・押印については,残念な状況です。
例えば,「利用者」「ご家族」「ご家族代表者」「代理人」「署名代行者」「身元引受人」「身元保証人」…,様々な方々の署名・押印欄があります。
各書面において,適切な方々へ説明等をし,適切な方々から署名・押印をいただいているでしょうか?

介護事業者において「契約」は,事業者(従業員)・利用者(利用者家族等)の双方にとって大切なものになります。
しかも,サービス提供に際しての入り口における最大の問題点です。
一度しっかりと見直してみることをお勧めいたします。

介護事業に携わる全ての皆様,契約は,事業者,その従業員全てに関わる問題です。
上記問題点に関する研修等に興味をお持ちの方は,弁護士法人龍馬(電話:027-372-9119,担当:板橋)までご連絡ください。
気軽に,楽しく学び,他の事業者より一歩進んでみませんか?
ご連絡お待ちしております。


弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

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