群馬にも適格消費者団体を!④

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弁護士の舟木諒です。


1,不当条項の是正が実現されました!

私も加入しているNPO法人消費者支援群馬ひまわりの会は,家庭教師の派遣業者に対し,契約条項の見直しを求めていました。

 今般,事業者側から,当会の申入れを受け入れ,自主的に条項を変更したとの連絡を受けました。

 消費者の交渉力の弱さに乗じた不当な利益の確保は本来の事業活動による収益ではないことを認識すべきです。

 今回の事業者側の早期対応には,敬意を表するとともに,今後も消費者目線での事業活動の展開を願うばかりです。

2, 契約条項は常に有効とは限らない!

 「契約条項に書いてある」としても,下記のとおり,法律上「無効」と判断される場合があります。他にも「一切責任を負いません」というような条項も消費者契約では,無効とされるものです。

このような条項を放置しておけば,未来永劫,消費者被害が生じる事になりかねません。「これはおかしいのでは?」という素朴な疑問を持たれた方,情報をご提供ください。

 

 今回申し入れを行った具体的な内容については,以下のとおりです。若干専門的になりますので,ご興味があれば。

1,中途解約・違約金の規制

法律上,家庭教師派遣等の「特定継続的役務」については,消費者から中途解約をすることが認められております。また,当該契約を消費者が中途解約した場合に,事業者が取得できる違約金については,上限が定められております。

具体的には,解約時期が特定継続的役務の提供開始後である場合,①提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び②通常生じる損害の額の合計額に法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える違約金条項は無効とされております。

そして,①の特定継続的役務の対価に相当する額は,「契約時」での単価が上限と解されており,契約時点の単価を上回る金額で再計算をすることは許されておりません。

2,解約時の単価を変えるとは?

例えば,家庭教師派遣の代金が1年コースでは12万円(1か月あたり1万円),6か月コースでは9万円(1か月あたり1万5000円)のように契約期間によって,1か月あたりの単価が異なるとします。

Aさんが,1年契約を締結した後,6か月で解約した場合,①「提供された特定継続的役務の対価」は,契約時の単価を元に6万円(1か月1万円×6)となるはずです。

ところが,事業者によっては,解約時点では,6か月しか経過していないことに着目し,あたかも当初から6か月コースを締結したものとみなし,1か月あたり1万5000円の単価で計算する業者がいます。

そのため,提供された役務の対価は,9万円(1万5000円×6)と計算され,差額の3万円が請求されたり,消費者が一括払いで先に支払っていた場合には,3万円しか返還されなかったりすることになります。

このような解約時における単価を変更する規定は,特定商取引に関する法律によって,無効と考えられます。

今回は,上記のような規定について,是正を求め,それが実現したものでした。

今後も,このような不当条項の申し入れ活動を継続して参ります。

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

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This page contains a single entry by published on 2014年9月27日 13:20.

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