伝統とグローバルの間で(ロンドン視察記②) 

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 弁護士の金井健です。

 ロンドンへ行って驚いたことは,生活する人の人種の多様さです。ヨーロッパ系・アフリカ系は勿論ですが,アジア系,アラブ系の方もたくさんいます。私は,イギリスに対して移民の国というイメージを持っていなかったので,とても驚きました。

 帰国して調べてみると,イギリスの外国人比率は,7.7%で,日本が1.6%であるのと比べると圧倒的に多いです。

 近年,日本も高齢社会の進行により,労働力の不足を補うために移民を積極的に受け入れようとする動きがあります。しかしながら,そもそも在留資格などの法制度を再検討する必要もさることながら,それ以前に,日本は,歴史上身の回りに“多くの外国籍の人がいる”という状態に慣れておらず,差別や外国人に対する人権意識が低いことが気になるところです。

 例えば,非正規滞在外国人などを収容する入管収容所での処遇について,イギリスでは医療や司法へのアクセスも高いとの報告(例えば,「イングランドの入管収容施設及び制度の現状と課題」研究会の報告)がある一方で,日本では今年3月28日,30日と立て続けに起こった東日本入国管理センター内での収容者の死亡事件について,医療アクセスの劣悪な環境の問題が指摘されています。これを受けて東京弁護士会,横浜弁護士会,群馬弁護士会などが相次いで会長声明を発表していますhttp://www.toben.or.jp/message/seimei/2-1.html

 また,移民の受入れに積極的になれば,必ず“差別問題”が生じます。イギリスでは人種の多様さからか,“差別”に対する感度はとても高いようでした。実際,イギリスにおける雇用問題の特徴として,差別を理由とする不当解雇が一つの大きな紛争類型となっています。他方,日本では,いわゆる外国人研修生・技能実習生問題など“特に酷い”と思われる氷山の一角のみが裁判上問題になっているに過ぎないような印象です。

 

 さてさて,イギリスにいて移民の国を感じるのが多国籍なお料理屋さんです。イギリス料理(フィッシュ&チップスとエールビール写真参照)は美味しくないなどとも言われますが,今は,中華料理はもちろんですが,インド料理,ギリシャ料理,メキシコ料理など様々な料理が味わえるので飽きません(ただし,物価はお高いです)。

 日本料理もあります。ただし,とても日本人が食べたら満足できない日本料理風と表現した方が正確なお店もありました。そのようなお店が,日本料理屋としてチェーン店としてイギリスで広まっているようです。確かに,日本料理がイギリスで独自の発展を遂げる可能性はありうることだとしても,正しい“和食文化”を正確に伝え,どのように守っていくのか(法という手段もあるのか)というのも課題なのでしょうね。

そのようなことを考えながら,“高速”回転寿司のお店で,ちょっぴりお高いカリフォルニアロールのお鮨を頂くのでした。

まさに,“伝統とグローバルの間”の味(笑)

 

続く

 

弁護士 金 井   健

 

弁護士法人龍馬HP http://www.houjinryouma.jp/

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This page contains a single entry by published on 2014年8月 7日 19:23.

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