弁護士業務の職域拡大

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  司法試験合格者数の増大に伴い,合格者が既存の法律事務所に就職できない事態が多数生じている。日弁連は,合格者数を3000名から1500名へ減員すべきと舵をきろうとしている。また,司法修習生の給費制度廃止の撤回を求めている。いずれの主張も良き時代の過去への回帰である。それが可能であれば,それもよい。

 私は,他方で,日弁連や各地の弁護士会が,より積極的に弁護士業務の職域拡大に粉骨砕身すべきものと考える。業務が拡大できれば,弁護士数の増大は望ましいことになるであろう。また,弁護士が公共的活動に多くの時間を割くために,それなりの公費が確保されるべきである。具体的には,弁護士費用の支払いが困難な貧困問題や消費者問題,さらには,高齢者問題に対して,弁護士を利用するにあたり,医療健康保険と同様な仕組みをより活用することにより,市民と弁護士との間の敷居を低くすべきである。また,司法修習生への学費貸与後に,公的活動をすることで支払免除の仕組みをつくりあげれば,若手弁護士の国選や扶助活動の充実化にも役立つであろう。方策は,多様な選択肢があるはずで,それをいかに実践するかにかかっている。

  しかし,現在,このような弁護士からの意見を耳にする機会は少ない。添付した新聞や市民の声からは,弁護士内部の主張が一般社会の現状とかみ合っていないことを示している。

  私は,職域拡大のひとつとして,高齢者問題への取り組みを開始した。ただちに成果のあがる領域ではない。ただ,高齢化社会が急速に進展する中で,弁護士が活躍できる場がそこに広がっていることは明らかである。この取り組み速度を高めなければならない。

 

【添付資料】
司法試験合格者数と職域問題
日経新聞 朝刊 15頁

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This page contains a single entry by published on 2010年9月 4日 13:33.

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