高齢者問題-具体的事例-
弁護士法人龍馬ぐんま事務所は,熟年者のさまざまな問題に取り組んでいる。
ある70歳後半の男性,独居生活である。この方には娘がおり,娘は若い頃から摂食障害をおこしている。医療鑑定からすると,すでに「人格障害」の域にあると考えられる。窃盗などの逸脱行為を繰り返しているからだ。
妻は現在,認知症となっており施設で生活をしているが,そのことも考え合わせると,娘に家族性のアルツハイマーの可能性も考えられなくはないと言われている。
彼は,本来なら,妻や娘に頼りたかったかもしれない。しかし,現在,すべてを背負い込んで,常に,不安を感じている。そして,自らの記憶障害を自覚しつつある。「整理整頓ができない」「自分でなんとかしたいと思う」しかし,「できない」「わからなくなってしまう」そんな状況だ。
当事務所は,この案件にどのように関われるだろうか。
まずは,彼に余分な心配はせずに「自分の時間」と「空間」を確保してあげたいと思う。外的環境を整え,希望する生活状況を獲得してほしいと考えている。
外的環境という側面では,具体的にホームロイヤー契約であり,財産管理であり,任意後見である。彼の記憶障害は,財産管理ができず,かつ,食事,清掃等の環境整理ができない状況をもたらしている。これに対する財産管理体制を構築し,介護保険認定申請やヘルパー派遣,手続き等の方策である。
そしてさらに,今,もう一つ提供できるのは,摂食障害の娘へ根本的アプローチである。スタッフの一人である社会福祉士の福島氏の面接から心のケアを提供するつもりである。本来,父親自身が抱えている依存的な部分に違う光が与えられるであろう。
その上で,繰り返し相談できる安心感,さらには,カウンセリングや心理面の分析のあとに,どのような個別の「安心の枠組み」をどのようにつくってあげられるのかを模索していこうと考えている。