“快適に老いる”ネットワーク
高齢者問題は,多様な問題を有している。老いの問題は個人で取り組んでも,孤独に陥るばかり。利用したいサービスがうまく探し出せず,遠回りばかりしてしまう。核心に迫って方策をみつけたときには,肝心の自分は,“今際の際”かもしれない。
そんな心配の渦中にいる人を,一人でも少なくしたいのだ。
弁護士法人ぐんま法律事務所は,ネットワーク構築にあたり,医師・社会福祉士・司法書士・会計士・税理士の専門家の方々へ参加協力と小冊子へのコメントを求めた。22名の方々から参加協力の回答を得た。その一部を紹介したい。
参加協力をいただいた飯野佑一先生は,救急医療の推進を目指し,NPO法人群馬県救急医療推進協会を立ち上げられ,群馬県内における救急医療医学教育や支援活動を行える専門家が多数存在することを前提に,救急医療のネットワークチームを構築され,群馬大学医学部教授を本年退官された。私もこのようなネットワーク構築に鼓舞された一人である。
内田病院・高齢者施設の理事長である内田好司先生からは,小冊子の目玉である事前指示書に関し,現場からの詳細な意見やアルツハイマーに関しての正しい知識をアドバイスいただいた。
私のゴルフ最強ライバル石北敏一先生は,診察時,患者さんには,「アンチエイジングではなく,『順調に歳を重ねていますよ』」と話すという。そうすると笑って「なるほど」と言って帰られる方が多いですというコメントをいただいている。
「齢を重ねる」ということは,年齢を重ねることを拒否する事ではない,それらが時間とともに順調に,健康にながれていることだという考えに触れて,人間としての安堵を得るのだろう。
内山恵子社会福祉士には,「行政が中心になって対応する事が困難になりつつある現在,私たち専門職がつながり支えていくネットワークが大きな力になり得るでしょう」という専門家ネットワークを期待する発言をいただいた。
須田和也社会福祉士は,「終末期医療の現場に関わることも多く,いわゆる末期ガン患者の方が,“病院ではなく自宅での最後を迎えたい”という思いを尊重したい」という。
私は,皆さまの「かかりつけ弁護士」を標榜しているが,猪之良社会福祉士は「かかりつけ社会福祉士」を目指している。彼は,常時30件以上の成年後見の案件を担当しており,その活躍ぶりには目を見張る思いである。
青木社会福祉士からは,「ケアマネージャーを兼ねる私は普段の業務から対人援助職と法律職が融合することにより,高齢者が安心した老後を過ごせると感じております。私もネットワークの一員に入れていただき,研鑽を積みたい」とのコメントをうけた。
清水敏晶司法書士には,「高齢化社会を見据えたすばらしい取り組みだと思います。心より応援します」という心強い言葉をいただいている。
さらに,小冊子における税務上の問題の記載に関しては,南雲税理士から細部にわたる加筆をうけた。
最後に,高齢者問題への新たな問題提起書”快適に老いる”冊子(7月1日発刊予定)を手に取っていただいた専門家の方々には,ぜひ本ネットワークへの参加を期待したい。メーリングリストで情報交換の場を持ち,問題解決に至る道筋を互いに提案できればと願う。