境界問題

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 「境界問題相談センターぐんま」相談員・調停員に任命された。

 境界問題については,なぜかしら常時一件,調停や訴訟を担当している。
いずれの案件も,合理的判断ではなく,感情的あるいは,こだわりによる判断が合意を左右する。それゆえ,当事者にはできる限り冷静な判断を求める。しかし,その求めは,決して当事者に共感を得ることはできない。
 境界問題についての認識は,次のとおりである。 

「境界は私人間の合意によって定めることはできないし,自由に変更することもできない。原告は,当事者間において合意があった旨主張するが,境界確定等請求事件において定めるべき個々の土地を区画する公法上の区分線たる境界ではない。」

 「当事者の申立は単に両地間の境界を定める判決を求める旨で足り,当事者が具体的な一定の境界線を主張しても,裁判所はその主張に拘束されることなく正当と考える境界を定めることができる」

 「そもそも,一筆の土地の境界線は隣地と接続し,それ自体客観的に認識できるものではない。また利用によって決定されるものでもない。不動産の表示に関する登記は所在,地番,地目,地積が登記されるのみであって,実際にはその土地の位置,境界が明確にされていない。従って,区画,地番を明確にするものとして,地図によることが最も適切な方法であるということができるのである。現在の登記制度の欠陥は権利の登記はなされているとしても,その所有者でさえ,土地の所在はわかっても,その境界が明らかでないものが多い。また時として所在不明のものさえある。客体が不明なところに権利は保全されることから,境界紛争の原因が生ずるのである。
 基本的に境界については明認と保全に少なからず問題があるため,つまり,明認と保全について登記上表示する方法がないため,適当に耐久力があって移動することの少ないコンクリート製境界杭,またはブロック塀,樹木等によって,物理的に保全するしか方法がない。また一旦保全された境界でも,自然的外部要因,その他物理的または人為的条件により,長い年月の間に,いつしか変動,喪失することがあり,明認不能な状況に転移し,境界紛争を引き起こす原因となるのである。」
 以上を前提に境界問題につき判断願いたい。

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This page contains a single entry by published on 2009年7月25日 13:34.

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